[キム・グァンソクのコラム] 終戦と経済

[写真・執筆=キム・グァンソク国際学大学院兼任教授]


2018年4月27日、韓半島に新たな歴史が書かれた。南北首脳会談が開催され、「板門店(パンムンジョム)宣言文」を通じて韓半島の平和と繁栄や統一に向けて努力することを確認した。つい最近まで北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長とドナルド・トランプ米大統領間の核をめぐる論争が高まり、戦争の可能性まで提起されていたが、もはや南北経済協力(経協)から拡大され最近には、経済統合まで取り上げられた。

南北経済協力が拡大される過程で多様な経済的機会が開かれる見通しだ。第一に、北朝鮮経済特区作りなどによる世界の関心が集まると見られる。南北経済協力が再開されたことによって開城(ケソン)工業団地が再稼働され、主要企業のリショアリング(reshoring)が続くものとみられる。

法人税削減や、規制緩和地域の造成など、多彩なリショアリング政策が展開されるものと予想される。開城工業団地だけでなく、北朝鮮の労働力が人手不足に困難を経験している韓国中小企業に活用されることにより、生産性が向上して競争力が強化される見込みだ。北朝鮮の主要低開発地域を中心に、商業用・住居用建築が活発に行われて、多様なインフラ開発(交通、通信、物流、エネルギーなど)が第2の全盛期を迎えると期待される。

その他にも教育システムや医療サービスの供給が拡大され、陸上物流(TKR+TSR)の拡大による国内企業の物流効率化の達成が可能になるとみられる。陸上物流とは、TKR(Trans Korea Railroad)は韓半島縦断鉄道を、TSR(Trans Siberian Railroad)はシベリア横断鉄道を意味する。主要貨物を鉄道運送を利用して欧州に輸出することになると、物流費が節減される。

第二に、重要インフラ関連技術に関する研究開発(R&D)が集中される見通しだ。北朝鮮のインフラ開発産業を中心に活性化が進展し、該当産業を中心としてさらに先進化された基盤技術が拡散的に適用される可能性が大きいからだ。

代表的にITS(Intelligent Transport System・知能型交通システム)やスマートグリッド(Smart Grid)+ESS(Energy Storage System・エネルギー貯蔵システム)、5Gなど交通・エネルギー・通信インフラ、技術に関するR&Dがもっと集中され、産業の活性化が期待される見通しだ。

第三に、観光特区作りおよび核処理安全化、環境問題提起などの様々な懸案が登場するものとみられる。金剛山(クムガンサン)観光地だけでなく、非武装地帯、開城工業団地など、観光特区を造成して国内外の観光客も拡大される見通しだ。非核化推進の過程で核兵器および核廃棄物処理に関する議論が進んで、強力な開発に野生動物や山林保全、水資源保護など多様な環境問題が提起されるものとみられる。

一方、南北経済協力の最も重大な関心は、開城工団に集中されるだろう。開城工団は2000年8月、現代峨山(ヒョンデアサン)と北朝鮮の間の「工業地区の開発に関する合意書」が採択されて動きが始まった。2004年6月、15社がモデル団地として入居契約を締結し、2015年12月末基準、125社が入居した。当時、北朝鮮側の労働者は5万5000人余りに達し、2005年3月から2015年12月末までの累積生産額は32億3000万ドル(約3兆4464億ウォン)に達した。

しかし、2016年1月、北朝鮮が4回目の核実験を行い、2月には長距離ミサイルを発射して南側が開城工団の稼動中止を決定した。

多くの人たちは開城工業団地から撤退するというマスコミ報道内容を覚えている。そして、各企業が再び開城工業団地に入ることを嫌がる傾向があると勘違いしている。しかし、中小企業中央会と開城工業団地企業協会が共同調査した結果によると、開城工団の入居企業のうち96%が再入居の意向を明らかにした。

政府は入居企業の直接的被害に対して支援金を提供しており、その外に資金・税制・代替生産・雇用など、分野別の支援対策を施行してきた。また、企業各社が置いてきた資産を取り戻すのも重要だが、安価な人件費の労働力を活用する良いチャンスだからだ。製造企業だけでなく、様々な産業で開城工業団地に入居や再入居を希望している。企業には経営活動をするための保険、資金調達などの金融サービスが必要である。製造企業を支援する流通・物流サービスや便宜施設なども必要だ。

米朝首脳会談が6月12日に決まった。米朝首脳会談の主要議題と予想される結果は世界の関心事となっている。米朝首脳会談が成功的に進められる場合、北朝鮮の開放と南北経済協力がとても速いスピードで進む見通しだ。特に、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が公約などを通じて明らかにしてきた新経済地図が現時点に合わせて再設計され、6月中に公開されるものとみられる。

北朝鮮との合意が盛り込まれた新経済指導を通じて、多様な観光資源開発、物流およびエネルギーインフラ造成とともに、産業地区の造成などにわたって経済的機会の輪郭が明確に判明されるとみられる。

このように終戦と南北経済協力は韓国経済に相当な影響を及ぼしている。このような観点で国内外の投資者は、南北経済協力株に集中したり、坡州(パジュ)などの地域に対する不動産投資に関心を持つなど、慌ただしい様子を見せている。相当な期待もあるが、危険もある。政府は最悪の状況を備えた安全装置作りに心血を傾けなければならず、企業は開城工業団地の入居と多様な支援策を考慮しなければならない。また、家計は期待だけを考慮した「投機」ではなく、リスクを考慮した合理的な水準の「投資」を進めなければならない。
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