[イ・ヨンウンのコラム] 「ジャパンパッシング(Japan Passing)」、良い事ばかりではない

[写真=イ・ヨンウン亜洲経済代表兼総括編集局長 ]


1941年12月7日午前6時。水平爆撃隊50台、 雷撃隊40台、降下爆撃隊51台、ゼロ戦(零式艦上戦闘機)43台など、計184台の日本軍の爆撃や戦闘機が平和の真珠湾のアメリカ海軍の戦艦に向かって急降下した。

数百万人の人命被害を生んだ太平洋戦争はこうして始まった。

このように大きな数の爆撃機などを真珠湾と鼻の先にまで運んだ日本航空母艦は、赤城、加賀、飛龍、蒼龍、翔鶴、瑞鶴など、なんと6隻だった。真珠湾襲撃を総指揮した日本艦隊の司令官であった南雲が構成した艦隊は、他にも戦艦2隻、重巡洋艦2隻、駆逐艦11隻、油槽船8隻や潜水艦3隻で組まれた。航空機は戦闘機、水平爆撃機、急降下爆撃機、雷撃機など432台だった。

今から約80年前のことだ。

中国が旧ソ連の空母ヴァリャーグを改造して作った遼寧(リャオニン・りょうねい)号と自主的技術で建造したという山東号など、2隻だけで米国と大洋で対決するとニュースを総なめしているが、80年前の太平洋戦争当時の日本の海軍力を考えてみると、笑うしかない話だ。

東南アジアとインド、パキスタンをつなぐ「真珠のネックレス」戦略を追求する中国に対抗して、日本はハワイとオーストラリア、インドなどを結ぶ「ダイヤモンド」戦略を押し通して、スリランカなどで日中外交が正面衝突する様相をもたらしたのもかなり経った。

日本の海上自衛隊P-3C哨戒機が真っ暗な大海原で、北朝鮮が外国船舶を通じて石油を密輸している現場を捕捉するほど、日本の海軍力はまだも最強の潜在力を誇示している。

最近の急変する韓半島情勢で「ジャパンパッシング」が流行のように固定化されている状況を再点検しなければならないということだ。

北朝鮮の豊渓里核実験場の爆発現場にもコ6カ国(6者)協議当事国のうち、日本の代わり英国が入り、韓国は「ジャパンパッシング」を当然視するような雰囲気だ。

もちろん、事あるごとに南・北・米和解ムードに冷や水を浴びせるような日本の行動をかばうつもりは爪の垢ほどもない。

しかし、外交は感情だけでうまくいくわけではない。トランプはすべての事がうまくいった時、北朝鮮に対する経済的支援に米国の金が入る理由はないとし、韓国と中国、日本の資本がその役割を代わるものとした。

北朝鮮の再建にどれだけのお金が必要かは、計算してみるのがむしろ面倒くさくなるほど天文学的な規模にのぼるだろう。

一角では北朝鮮と日本の戦後賠償金の規模が数百兆ウォンに達するから、日本の賠償金だけでもよく受け取ったら北朝鮮経済を復興させるのに十分だという分析が出たりもする。

しかし、このような考えは相手は思ってもないことに、取らぬ狸の皮算用になる可能性もある。

日本は自分たちが36年間にわたった植民地支配に対する謝罪よりは、17人(日本側の主張)に達する日本人拉致事件についてもっと執念を見せている。

2002年、平壌で開かれた小泉総理と金正日(キム・ジョンイル)総書記の首脳会談で、日本人拉致問題を取り上げて日朝共同声明(平壌宣言)を白紙化させた人が今の安倍晋三首相(当時の内閣官房長官)だった。

このような背景を考慮すると、南・北・米関係が正常化され、北朝鮮の再建に日本の資本力が必要な時、日本がどのような戦略をとるかは明らかだ。

現在の情勢からみると、南・北・米関係で6月12日、シンガポール会談をきっかけにすべての問題を一気に解決するような大きな妥協はできないだろう。米国と北朝鮮の両方から「段階的」という声が流れている。韓半島で経済的繁栄という捜査が実在化されるためには、今よりもはるかに精巧なプロセスが必要だ。

ちょうど米朝首脳会談の三日前に中国の青島では「上海協力機構(SCO)」の会議が開かれるが、この席で北朝鮮と中国、ロシアの33カ国の首脳会談が実現されるだろうという観測も出ている。3カ国首脳会談が行われようが、これからも相当の期間、米朝首脳会談の成功とは関係なく、北朝鮮・中国、ロシアと韓国・日本・米国の対決構図は続く可能性が大きい。

どんな場合でも対応できる戦略を立てなければならないのは当然なことではないだろうか。

日本は依然として強国だ。経済力はもちろん、軍事力においてもいつでも大国化が可能である。韓半島平和の定着と北朝鮮の経済的再建のためにも日本資本の役割はとても切実だ。

財界のある関係者は、"米朝首脳会談が成功するとしても、韓国企業が北朝鮮にすぐに駆けつけることはないだろう。すでにサード問題で中国からやられた経験があり、ある日突然、資産が縛られた開城工団(工業地区)の事例もあるじゃないか"と、"平壌(ピョンヤン)に新築の高層ビルが建てられ、数百人のウォールストリートの白人たちが勤務する姿が見えない限り、企業人らが簡単に対北朝鮮投資を決めることは難しいだろう"と話した。もちろんこのような発言は少しは戯画化された表現ではある。

北朝鮮のエネルギー問題を解決するため、シベリアのガスを韓半島を経て日本まで運ぶパイプライン建設が切実なほど、日本はどんな形であれ、北朝鮮の再建に役割を果たさなければならない。北朝鮮はこのような建設事業でトリクルダウン効果を期待することもできる。

韓国の外交が北朝鮮や米国、中国をなだめながら「運転者の役割」を遂行しなければならないが、できれば日本もなだめて韓半島平和プロセスに少しでも誤差が発生しないようにしないということをもう一度強調したい。

最近は特に、中国まで「チャイナパッシング」に強く抵抗している状況だ。中国、日本はもとより、6カ国協議当事国であるロシアも、我々の立場としては疎かにしてはいけない状況だ。朝米関係が正常化されれば、その次は当然、日朝関係の正常化だ。
 
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