[イ・ジョンヒのコラム] トランプ発の世界的な経済の脅威、どう対応するべきか

[写真・執筆=イ・ジョンヒ中央大学経済学部教授(元中小企業学会長)]

米中貿易戦争が始まってから5ヵ月が過ぎた。今年3月22日、トランプ米大統領が500億ドル規模の中国産輸入品に25%の関税を課す「中国の経済侵略を標的とする行政命令」に署名し、米中貿易戦争が始まった。

まだ誰も手をあげず、プライド争いを続けている。世界最大の強者である二国のプライド争いで世界は緊張している。輸出において両国に依存する割合が絶対的に大きい韓国は、二つの大国の間で心配が並大抵ではない。すでに中国は米国との貿易戦争による影響で内需経済が打撃を受けているという。

米中貿易戦争で人民元の価値が下落して原油や穀物の輸入価格が上がり、中国内の物価上昇を触発していることが分かった。高関税爆弾による中国の米国輸出が減り、生産の減少と失業率の増加も伴っているという。これは結局、所得減少と共に消費減少につながり、内需低迷の結果として現れるようになるのだ。

これまで高成長で走ってきた中国経済が最近、その成長の勢いが衰えた状況で、米国発貿易戦争をどれだけ耐えられるかが気になる。

このような米中貿易戦争を最も憂慮している立場である国家がまさに韓国だ。貿易戦争の火種が韓国経済に飛び火して、大きく拡散されないかという懸念だ。中国生産の米国依存度が高い状況で、米中貿易戦争は中国に進出した韓国企業に直接的な打撃となっている。

また、中国で米国への輸出減少以外にも中国の内需低迷による打撃が、中国に進出した韓国企業や中国への輸出に依存する韓国企業に大きく現れかねない。

米中貿易戦争以外にも米国のイランに対する経済制裁と、イランのホルムズ海峡封鎖の脅威など、石油供給の不安定の懸念などは今後韓国経済の不確実性を増している。すでに原油価格の上昇により市中のガソリン価格が上がっており、今後、原油価格がもっと上がることになると、物価全般に及ぼす影響が大きくなる可能性がある。

そうでなくても市中の物価は上がり続けており、特に庶民たちの経済的負担が大きい。韓国の国民は経済が成長している時に現われる物価上昇には慣れていたが、このような内需景気が低迷し、所得が停滞した状況での物価上昇は消費をさらに難しくして、家計収支の悪化による景気の悪循環の要因になるという点で、その重要性が大きい。

特に食品価格の上昇が顕著に現れている。生活物価で重要な比重を占める食品価格の上昇は、庶民に及ぼす影響が非常に大きいと言える。また、今年の夏は猛暑による野菜類など農産物生産の支障により価格が大幅に上昇している。異常気候の影響によるこのような猛暑現象が今回の夏に限らず、来年にも続くと予想され農産物の需給管理がより重要となっている。

ただでさえ低成長局面に直面してきた韓国経済が、トランプ発の対外経済変数に対する対応という挑戦課題に直面している。内需低迷期の中で成長のためには、もっと海外へ目を向けなければならない韓国経済としては、米中貿易戦争を含めた世界的な通商戦争の中でこれを賢明に克服し、海外市場を通じた成長課業を達成しなければならない国家的課題に挑戦を受けているのだ。

政府は韓国経済が直面した対内外的な困難を直視し、その解決策を探すのに何よりも全力を傾けなければならないだろう。中長期的な目標で米国と中国に対する依存度を減らしていかなければならないが、政府の新南方政策委員会の発足はその意味と期待が大きいと言える。

世界市場に舞台を広げていくためには市場の開拓者が必要だ。毎年青年たちを選抜して世界市場に送り出し、市場開拓者として養成する政策的努力が必要とされる。

毎年1万人ずつ選抜して10年間10万人の青年たちを世界市場の開拓者として養成するのはどうだろう。革新成長にとって新たなビジネス創出が重要であり、これによる雇用の創出と未来成長の動力を得ることも、トランプ発の経済脅威に対処する道ではないだろうか。
 
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