[キム・ヨンイクのコラム] 2019年の世界経済を見る眼

[執筆=西江(ソガン)大学経済大学院経済学部キム・ヨンイク兼任教授 / 経済コラムリスト(写真=亜洲経済 ナムグン・ジヌン記者)]


年末が近づくにつれ、各研究団体で2019年の国内外の経済を展望する資料を出している。来年の経済を展望する焦点は大きく4つにわけられる。第一に、2009年下半期以降続いている世界経済の拡張局面が2019年にも持続できるのか? 第二に、一部の先進国の中央銀行が来年も金利を引き続き引き上げるだろうか? 第三に、ドル相場の上昇傾向が2019年にも続くだろうか? 第四に、このようなグローバル経済環境が韓国経済にどのような影響を与えるだろうか? これに対する筆者の答えは以下の通りである。2019年に世界経済が収縮局面に差し掛かり、物価は徐々に安定し、金利引き上げのサイクルは終わるだろう。下半期には中央銀行の通貨政策の方向性が「緩和」に転じる可能性が高い。ドル相場は下がる見通しだ。輸出が萎縮し、韓国の経済成長率はさらに低くなるだろう。

2008年米国で発生した金融危機が全世界に広がり、2009年の世界経済は0.4%マイナス成長した。世界経済が逆成長したのは1982年以来初めてだった。先進国を中心に景気が低迷して以降、各国政府と中央銀行は果敢な財政および通貨政策で対応した。その結果、世界経済は2010年に5.4%成長し、速いテンポで回復した。そして、2010年から2017年の年平均経済成長率も3.9%を記録し、金融危機前の10年間の平均成長率である4.0%に迫った。

しかし、2018年下半期に入って主要国の経済成長が鈍化している兆しが現われている。2009年、先進国経済が低迷に陥った時も9.2%も成長し、世界経済の拡張をけん引した中国経済の成長率が下がっている。投資中心の成長過程で、企業の負債が国内総生産(GDP)の160%を超えるほど企業が経営難に陥った。中国経済が中長期的には消費中心の安定成長の局面に突入するかもしれないが、その過程で曲折は避けられない。日本やユーロ圏の経済も下半期に入って成長エンジンが減速している。特に日本経済は、今年第1四半期と第3四半期にマイナス成長を記録した。

世界GDPの24%を占める米国経済だけが未だに高い成長率を誇っている。しかし、米国の経済成長率も今年の2.9%を頂点に今後2年間ほどは下がる見通しだ。トランプ政権の減税効果が次第に減り、企業投資が萎縮する兆しを見せている。米国の経済が拡張を持続するかどうかは、GDPの70%の消費が引き続き増加するかどうかにかかっている。今年に入って不動産景気が冷え込んでいる中、今年10月以降は株価も急落した。仮処分所得の100%を超える負債を抱える家計の消費心理が萎縮する可能性が高い。今年10月、国際通貨基金は来年の世界経済成長率を3.7%と予想し、7月より0.2%ポイント下げたが、米国の経済さえ収縮局面に入る場合、さらに下落しかねない。

景気拡張局面の後半では需要が増加し物価が上がる。今年に入って米国の消費者物価上昇率が2%を超えており、ユーロ圏の物価上昇率もほぼ2%に近接している。2018年、中国など新興市場の物価上昇率も昨年よりは高まった。そのため、米連邦準備制度理事会(FRB)が持続的に政策金利を引き上げ、欧州中央銀行(ECB)も「インフレーションのトラウマ」に捕らわれたドイツを中心に2019年上半期には金利を引き上げる可能性がある。しかし、来年下半期にいくほど経済成長の鈍化で需要面で物価上昇の圧力が低くなる見通しだ。今年10月以降、国際原油価格が30%も急落した。これは来年の世界経済成長の減速を予め知らせるシグナルであり、原油価格の下落は再び物価安定へとつながるだろう。2019年下半期以降は、世界の主要中央銀行が通貨政策の方向を緩和する方向に旋回する可能性が高い。

米国が引き続き利上げに踏み切り、米ドル相場(ブルームバーグのドル指数基準)が今年6%ほど上昇した。2017年にドルが10%下落したことに比べると、下落傾向は一時的な上昇といえる。前述したように、来年のある時点で米景気が収縮局面に入ると、ドルの価値は再び下がるだろう。「トランプの敵は議会だ」という言葉が示唆するように、下院で多数党となった民主党がトランプ政府の過度の政府支出を許さないだろう。2008年の金融危機の時は、連邦基金金利を5.25%からほぼ0%まで引き下げる通貨政策を展開したが、現在は金利が相対的に低い水準であるため、連準の通貨政策にも限界がある。トランプ政権は米ドル安を誘導し、対外部門で需要を扶養しようとするだろう。ドル価値の下落幅がさらに深まる可能性があるということだ。

韓国経済の見通しも相次いで発表されているが、来年の経済成長率が今年(2.6~2.7%)より高くなると予想している研究団体はほとんそどない。韓国企業の投資心理が急激に萎縮した中、家計負債比率が高いため消費を大幅に増やせない状況だ。さらに、今年の経済成長を主導している輸出も、来年は萎縮する可能性が高い。2009年下半期以後、拡張局面を持続している世界経済が2019年には収縮局面に入る予想しているためだ。また、ドル安に伴う相対的なウォン高も輸出の価格競争力を低下させるだろう。2019年は政府と中央銀行の役割が大きくなるしかない1年になりそうだ。
 
<亜洲日報の記事等を無断で複製、公衆送信 、翻案、配布することは禁じられています。>
기사 이미지 확대 보기
경북 포항시 경북 포항시
닫기