[イ・スワンのコラム] 世界経済に対する楽観論と悲観論

[写真・執筆=イ・スワン論説委員]


2018年が始まってから米国などの先進国経済はトランプ政府の法人税引き下げや中間層減免政策のおかげで同伴成長が相当期間続くという楽観論が支配的だった。しかし、第3四半期のドイツや日本の経済がマイナス成長を記録し、中国経済とグローバル貿易も減速して悲観論が頭をもたげた。米中間貿易戦争の暗い影が濃く立ち込めている中、世界各国は来年度の経済展望と対応戦略を練るため苦心している。

今年の米国の経済好況は著しい姿だ。米国の国内総生産(GDP)増加率は今年3%に迫り、過去9年間の景気拡張期間中最も高い水準だ。11月の失業率は3.7%であり、ほぼ半世紀ぶりに最低値を記録する良好な姿だ。インフレは上昇したものの、連邦準備制度(連準=Fed)の目標値の2%は超えていない。

今年の米国経済の巡航を様々な要因で分析できるが、何よりも法人税の引き下げなどトランプ大統領の果敢な税制改革と大規模なインフラ建設、そして、エネルギーや環境金融分野の規制撤廃などが挙げられる。このようなさまざまな政策で企業家精神や投資活動が蘇り、中間層の税金減免や低い失業率は消費を促す結果を招いた。

米国経済の成長の勢いが持続的に確認され、連準は今年3月・6月・9月の基準金利を0.25%ずつ3度も引き上げた。現地時間で18日から19日にかけて開かれた連邦公開市場会議(FOMC)で追加引き上げが確定する直前、トランプ大統領は連準に金利を引き上げないよう露骨に働きかけた。米中間貿易戦争の余波で最近、世界景気下降の動きが明らかになると、トランプ政府の焦燥感も増すものとみられる。

トランプが自らの治績で自画自賛した米株式市場のラリーは止まっており、国際金融市場は株式など危険資産に対する投げ売り圧力が強まっている。米国債の長短期の金利差が縮小し、景気低迷が差し迫る懸念まで持ち上がっている。このような中、来年3度の引き上げ可能性をすでに予告した連準が、金利引き上げの速度を下げなければならないという市場の声が高まっている。11月の米中間選挙の結果、野党民主党が下院を掌握したことでトランプ大統領の景気てこ入れ策は、もはやブレーキがかかる可能性が高まっている。今年トランプの減税政策や国防・福祉支出が拡大し、連邦財政赤字が急激に増えていることへの懸念も高まっている。

対内的にトランプは中央銀行に対する政治的中立性の毀損論議にもかかわらず、連準の金利政策の変化を強く圧迫している。対外的には多国間世界貿易秩序を米国中心に再編し、自国産業の保護と大規模貿易赤字の改善に向けた動きに拍車をかけている。トランプは自分の一方的な通商政策が米国の輸出と投資を増やしてくれると期待しているが、他の結果を招いている。すなわち、グローバル景気の後退である。

米経済が来年も好況を続けるかどうか意見が分かれている。トランプが保護主義的貿易政策をどう推し進めるか? そして、連準が金利引き上げの速度をどの程度調節するのか。また、今年現われた景気浮揚策の効果が来年現れるのか。このような質問に対する明確な回答が見られないためだ。

世界経済に対する悲観論と楽観論は大半が米国の動きと関係がある。米国と中国が「90日間の停戦」に合意したが、悲観論者は貿易戦争が両国間の技術覇権競争に移ったことで膠着状態が長期化するか、高率関税爆弾争いが避けられないとみている。楽観論者は両国が合意案を見出すことに成功し、中国が自国市場の接近を大きく拡大して世界最強の技術国家に跳躍する野望を放棄するということだ。

今年特に変動性を見せていた国際原油価格の動きも関心事だ。今年10月に75ドルにのぼった原油価格は、今月18日(現地時間)ニューヨーク商品取引所で46ドル台にまで下がり、2カ月間で40%近く暴落したのだ。悲観論者は国際原油価格の弱さは需要不振による慢性的な供給過剰が原因で新年にも持続すると見ている。反面、楽観論者は原油価格の下落はインフレーション圧力を緩和させ、各国の中央銀行は金利引き上げを自制するものと展望する。今月初め石油輸出国機構(OPEC)が合意した1日120万バレルの減産にもかかわらず、米国のセールオイル増産で油価上昇は制限的だと見ている。

悲観論者は米国の連準が金利を引き続き引き上げて流動性不足事態をもたらし、新興国の経済はさらに混乱に陥るものと見ている。逆に楽観論者はインフレへの懸念が緩和され、連準が金利引き上げの速度を調節し、安定的な経済成長と堅固な雇用状態も維持できると見ている。

内外の憂患の岐路に立たされている韓国も、来年、米国と中国を含む世界経済の変化とそれによる対応策づくりに奔走している。米中貿易摩擦による中国経済の鈍化の可能性、新興国の金融危機など危険要因が一つや二つではない。政府は韓国経済をめぐる内外の不確実性を深刻に認識し、積極的かつ先制的に乗り出さなければならない時だ。






 
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