[イ・サンマンのコラム] 北開放への備え・・・「南北協力の特別措置が必要だ」

[写真・執筆=イ・サンマン慶南(キョンナム)大学極東問題研究所教授]


春が来たが春らしくない(春來不似春)。米朝間の共存のための決断と譲歩の美学が求められる時期が近づいている。ハノイ発の春風が韓半島(朝鮮半島)和平定着に薫風として作用することを首を長くして待っている。

北朝鮮は現在、安保型軍事国家の端から発展型経済国家に移らなければならない初期段階にある。この転換が成功するための前提条件は、経済開発のために安定的な国際環境を整えることだ。旧ソ連や中国などの社会主義国家は、建国初期の体制生存と外部の脅威に備えた軍事的防衛に力を注ぎ、北朝鮮も例外ではなかった。しかし、発展型経済国家に進入した国家の指導者は「王は民をもって天となし、民は食をもって天となす(王者以民為天、而民以食為天)」という警句を肝に銘じなければならない。

鄧小平は「貧困は社会主義ではなく、社会主義の目標はともに豊かになることだ」と述べた。ベトナムが「ドイモイ」を通じて社会主義の市場経済を活性化させ、経済活力溢れる国家になったように、金正恩(キム・ジョンウン)委員長も北朝鮮の鄧小平になりたいなら、開放を通じて北朝鮮を発展国家に転換するために邁進しなければならない。現在、北朝鮮は社会主義の配給システムが崩壊し、住民たちが不足している物品をチャンマダン(市場)を通じて解決している。社会主義体制の配給システムが崩れたということは、社会主義が失敗したという傍証だ。金委員長は、核を放棄して人民をよく食べさせ豊かに暮らすチャンスを選択しなければならない。そのため、今週ハノイでの第2回米朝首脳会談で進展した結果物を作り出さなければならないのも金委員長の役割だ。

だとすると、私たちがすべきことは何だろうか。北東アジアのチェス版に新たな秩序の構築が進められており、南北関係のパラダイムも大転換が進んでいる。これは私たちにとって1988年の7・7宣言(盧泰愚大統領によって発表された民族自尊と統一繁栄のための特別宣言)以来30年ぶりに訪れた絶好のチャンスだ。思考の転換を通じて近づく平和の時期を創出しなければならないのは、我々の役割であると言えるだろう。この時期には大胆な発想の転換を通じて冷戦的地政学的理由と脱冷戦の地経学的事由を変証法的に進化させ、政治的・経済的・文化的価値が凝結した「地域運命共同体」の構築という地戦略的(geo-strategic)事由が求められる。

現在、大国は軍事的な手段より貿易や技術のような経済的手段を強力に駆使している。中国と米国は米朝間の談判が進められる間も、水面下では北朝鮮を先取りする案を模索している。対北朝鮮制裁の間も、中国は遼寧省の丹東を中心に北朝鮮地域への投資説明会を行い、米国の投資家も北朝鮮に対する投資項目や可能性を秘密裏に探っている。万が一、北朝鮮の開放が可視圏に進入すれば北朝鮮の税制と貿易など投資関連法の改正、経済の自由化と国有資源の民営化、銀行・鉱山・工場・インフラ建設などに対する海外投資企業の所有権法制化が大国の主な攻略目標になるだろう。

だから、南北が協力して貴重な民族の財部が外部に流出することを防止するため、北朝鮮開放後を念頭に置いた南北間の協力と特段の措置が必要だ。北朝鮮が国際社会の一員として参加するという意志を善意で受け入れ、開かれた心を持って北朝鮮を見つめなければならない。この土台の上で南北が協力して韓半島和平体制構築に邁進しなければならない。もちろん、地経学的な協力で形成された南北の主導権強化は、北朝鮮の完全な非核化を推し進める強力な求心点として作用し、実際に南北が望む経済共同体の実現も可能だろう。 地経学的レベルで南北間の経済協力を通じ、北朝鮮という孤島の閉ざされた扉を開けるこそ韓国にも希望がある。

北朝鮮はこれまで生存のために核を開発したが、何の体制保障もなく核を放棄せよということは到底受け入れられないだろう。すなわち、信頼のない状況で相手の要求を受け入れて全てを渡す場合、自分に返ってくるのは何かを考えるのは当然のことだ。ハノイでの米朝首脳会談の目標が韓半島の恒久的平和と北朝鮮の完全な非核化であることは確かだが、ここまで進むための過程も重視しなければならない。双方が最小の費用だけを支払い、最大の効果を得られるなら良いが、現実はそうではない。中国のことわざに「損害が福だ (吃亏是福)」という言葉があるが、双方が若干の損害を甘受して今回の第2回米朝首脳会談に臨むなら、お互い満足する結果に到達できるだろう。
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