[ユン・ウォンソクのコラム] 危機の輸出、国家レベルの総合状況室が必要だ

[写真・執筆=ユン・ウォンソク淑明(スクミョン)女子大学特任教授]

輸出成績表が赤い。昨年12月から3ヵ月連続でマイナスとなった。投資と消費に続き、輸出まで成績が悪く、世論と民心が大きく揺れ動く。

政府も急いで「輸出活力向上対策」を打ち出した。 内容も膨大だ。貿易金融を従来より15兆3000億ウォン増えた235兆ウォンに策定し、輸出マーケティングに向けた予算も182億ウォンを増額して3528億ウォンに増やした。主力産業はもちろん、バイオヘルス、二次電池などの新産業までぎっしりと支援するという内容、私たちの製品を輸入業者に保証してくれる「海外輸入者特別保証プログラム(1000億ウォン)の新設」なども盛り込まれた。

メニューは何しろ盛りだくさんだ。資金力が不足し、海外ネットワークがない中小輸出企業やスタートアップの興味を引く内容もかなりある。それでも全体的に何か印象的でなく感動が少ない。過去にも見たことのある短期的で反復的な支援が多いからだ。

筆者が考えるには、韓国の輸出は今、死ぬか生きるかの岐路に立っていると判断される。体系的な診断と根本的な処方なしでは、癌にかかった患者のように次第に衰弱して没落するという話だ。

現在、大韓民国が直面しているグローバル貿易環境は、非常に複合的かつ多層的な要因が働いている。世界経済の低成長への転換、米中貿易戦争など新保護貿易主義の拡散、世界各国に支援したグローバル生産のバリューチェーンの弱化と再編、デジタル経済への転換などが現れている。このような変化は構造的で長期的であり、過去に経験しなかった新しいパターンだ。貿易環境が悪ければ国内経済環境でも良くなければならないが、国内消費は高い家計負債によって増えることが容易ではない。対外の不確実性と規制によって企業の投資も期待し難い。結局、成長と雇用創出のため、輸出が大きな役割を果たせるようにすべきだというのが筆者の考えだ。そのためには、2008年金融危機後、米国が選んだ国家輸出政策(NEI:National Export Initiative)をよく分析する必要がある。

米国は金融危機の克服のため、金をむやみに放つ量的緩和を通じた景気刺激を試みた。問題は、不動産価格の暴落による高い家計負債で、国民の消費余力が高くないということだ。オバマ大統領は2010年、年頭教書で発表した国家輸出政策(NEI)を通じて突破口を開いた。NEIの究極的な政策目標は、200万個の働き口創出のため、2010年から5年間、輸出を2倍に増やすというものだ。このため、既存の輸出支援制度の合理化と企業支援システムの抜本的な改革を推進した。 何よりも政府省庁と、関連機関の協力との調整のために20カ所の政府省庁および機関で構成された貿易振興調整委員会(TPCC:Trade Promotion Coordinating Council)に足して上位の輸出振興内閣(Export Promotion Cabinet)を発足させ、具体的な成果目標値を付与した。自由貿易反対気流が強かった政権であるにもかかわらず、韓米自由貿易協定(FTA)を批准するなど海外市場への参入を支援し、企業にシングルウィンドウなどオーダーメード型サービスを大幅に増やした。

結果は驚くべきものだった。2009年以降、米国商品及びサービスの輸出は7000億ドルが増え、2013年には2兆3000億ドルの最高輸出実績を記録した。2009年以降160万個の輸出関連の仕事が新しく作られ、輸出による雇用は1130万個を記録し、当初の計画に近接した成果を収めた。

では、韓国の輸出活力対策と米国のNEI間の違いは何だろうか?

第一に、政策の優先順位と推進体系の問題だ。米国は輸出を最優先に設定し、各種支援政策を調整して統合する強力な機構を設置しながら高成果を具体化した。通商政策と研究開発(R&D)および製造革新政策など企業の競争力強化も忘れなかった。韓国はこれに比べて強力な推進体がよく見えず、何が優先なのか判断がつかない。

第二に、米国は支援範囲を商品はもちろんサービスにも拡大し、成果を雇用と連携させるということだ。韓国の支援は依然として輸出商品だけに止まっており、サービス産業発展基本法は一部の反対気流に塞がれ、国会の敷居をまたぐことができない。そのため、雇用効果の高いサービス分野で赤字が大きい。

第三に、米国は政策の持続性と実質的な顧客需要基盤のオーダーメード型支援を強調した。私たち対策にも随所にオーダーメード型とシングルウィンドウという用語が目立つが、顧客である企業は依然として500個も超える豊かな(?)支援策の中で混乱している。

何よりも残念なのは、支援政策の重複や非効率を調整したり、成果を評価してフィードバックする専担機構がないという点だ。幸い産業部で米国のTPCCと似たような官民合同輸出戦略調整会議を発足するという。そうした機構が効果を出すためには、総合状況室の役割をしなければならないと思う。輸出は戦争であり、戦闘指揮所には必ず状況室がある。
 
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