中国発のアフリカ豚コレラ拡散・・・"「タンパク質波動」やってくる"

  • 中国全域に拡散し、豚肉価格高騰・・・ "2020年には78%上がる"

  • 中国の情報統制・隠蔽に「氷山の一角」指摘・・・北朝鮮の感染可能性の懸念も

[写真=アイクリックアート]


「中国発のアフリカ豚コレラ(ASF)事態が世界的な『タンパク質波動』を巻き起こすかもしれない。」

国内畜産加工業界のある関係者が、アジア地域を襲っているアフリカ豚コレラについて述べた言葉だ。彼は最近、亜洲経済とのインタビューで、「アジア地域で発症したアフリカ豚コレラは、過去のヨーロッパの状況とは全く違う」とし、「今年の下半期には全世界の豚肉の価格が急騰し、他の肉類まで影響が及んだ場合、2022年ごろには『タンパク質波動』が起こる可能性がある」と警告した。
 

[写真=亜洲経済]


アフリカ豚コレラ(African swine fever・ASF)は致死率が100%に達するが、予防ワクチンさえない動物伝染病だ。1900年代の初めにアフリカで初めて確認され、「アフリカ」という名前がついた。サハラ以南のアフリカでは一般的な病気だったが、1950年代末にポルトガル、1970年代の初めにキューバを通じてヨーロッパ各地とアメリカ大陸に伝播された。

最近ではアフリカの代わりにヨーロッパが主な発病地として浮上した。東ヨーロッパに集中していたのが少し前には西ヨーロッパの中心地であるベルギーまで到達し、欧州連合(EU)当局が緊張している。米国は発病例がないがウイルス流入の可能性を警戒している。

ASFは昨年8月、アジアで初めて中国で発病した後、現在、ベトナム、モンゴル、カンボジアまで広がった状態だ。専門家らは感染国と隣接したタイとフィリピン、北朝鮮も間もなく射程圏に入ったり、既に感染したかもしれないと懸念する。

「亞、豚の飼育割合が高く大きな打撃」
「世界家畜家禽類市場と貿易 」の報告書によると、昨年現在、全世界の繁殖豚の数は7億6900万頭で、このうち半分を超える4億3300万頭を中国が飼っている。ベトナムは約3000万頭で、米国7300万頭の半分に近い。

前述した畜産加工業界の関係者は「アジアはヨーロッパやアメリカに比べて豚の繁殖の割合が高いため、ASFの拡散速度が速い」とし、「世界の豚肉価格への影響も大きいだろう」と説明した。

中国内の豚肉価格はすでに高騰しており、買い占めや売り惜しみの兆しが出ているほどだ。中国農業農村部によると、先月、中国内の豚肉価格は前年同期比7.6%上昇した。日本の投資銀行野村は、2月に1㎏当たり18.5元(約3100ウォン)だった中国内の豚肉価格が、2020年には78%上がった33元へと頂点に達すると予想した。

中国内の豚肉価格は現在、国際価格より約11%高い水準だが、アフリカ豚コレラ事態が続けば、国際価格も急騰するしかない。もはやアメリカのシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で取引されている豚肉先物価格は、3月以降だけで70%以上上昇した。

豚肉の価格が急騰すると、中国は輸入量を多く増やした。今年1〜2月に前年同期比10.1%増の20万7000tの豚肉を輸入した。

オランダの銀行ラボバンクは、ASFがすでに中国全域に広がり、約1億5000万〜2億頭の豚が斃死たり殺処分される可能性があるとし、今年の中国の豚肉生産量が30%程度減少すると予想した。香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は、全世界の豚を全部動員しても中国の不足分を埋めることは難しいだろうと指摘した。

◆中国の情報統制・・・一部の地域では発病の事実を隠し
中国発ASF事態がより深刻になる可能性があるのは、今まで明らかになったのが氷山の一角であるためだ。専門家らは、中国発ASF事態が正式に知られているよりもはるかに広範囲であると憂慮する。何より中国の情報統制で正確な状況を把握することは困難だからだ。中国とシステムが似ているベトナムに対しても似たような懸念が提起される。

中国農業農村部は昨年8月、ASF発病以後にとった措置が効果を出していると強調したが、ウイルスは6ヶ月ぶりに中国全土に広がった。中国政府の対応が、制限された現地メディアの報道にもかかわらず、実際には報道よりも不十分すぎるという指摘が出ている。
 

[写真=亜洲経済]


中国の地方政府が発病事実を隠しているという話もある。ロイターによると、中国ではASF発病が確認されると、関連法に応じて該当農場3km以内のすべての豚を殺処分し、農家に1頭当たり1200元(約20万ウォン)の支援金を与えなければならない。しかし、中国畜産業界の関係者は、予算が足りない一部の地方政府が支援負担を避けるために発病事実を隠したりもすると耳打ちした。中国が知らず知らずにASF感染豚で加工品を作ってウイルスを伝播する可能性があるという懸念が提起される理由だ。

米国当局が最近、空港・港湾の検疫を強化したのも同じ脈絡だ。米国税関国境警備局(CBP)は、先月ニューヨークで中国産の豚肉加工品約100万ポンド(454t)を押収した。米国農務省は、過去最大規模であるこの押収物量のASF感染可能性を調査していると発表した。国内では昨年から今年まで、中国産餃子とスンデ(韓国式ソーセージ)などから計14件のASFウイルス遺伝子が検出された。

◆ 北朝鮮の感染可能性が高く・・・韓国の多角的な代案が必要
肉加工品は人が食べる飲食だが、未だに韓国の豚農場では豚に残った食べ物(残飯)を餌として使用することが頻繁に行われて問題になるかもしれない。畜産加工業界の関係者は、「韓国は中国と国境を接していないため、肉加工品を通じた感染が最も確率の高いウイルス流入の経路である」と説明した。

北朝鮮の感染によって全く異なる状況が展開されることもありえる。国内畜産業界では、北朝鮮がすでにASFに感染したものとみなす人々も少なくない。北朝鮮は2014年1月、口蹄疫の発生通知以後、国際社会に海外悪性伝染病の感染事実を知らせていない。

専門家らは北朝鮮でASFが発病する場合、野生イノシシを媒介体としてウイルスが国内に入ってくる可能性があると警告している。

畜産加工業界の関係者は、「まだ『清浄地域』である韓国も気を緩めてはいけない」とし、「ASFが韓国に上陸しなくても、豚肉の価格上昇が避けられないだけに、政府が多角的な代案を用意しなければならない」と強調した。


 
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