WTO韓日戦、韓国の全勝行進・・・今回は「日本報復」の違法性が争点

  • 空気圧バルブの反ダンピング関税紛争など、これまで韓国がすべて勝ち

  • 日本の半導体材料3品目の輸出制限に「不当な差別待遇」浮上

  • トランプの脅威などWTO存立の危機.・・・「WTO提訴」に懐疑論も

[写真=亜洲経済]


今月4日で日本の半導体材料3品目に対する輸出規制による韓日経済の対立が浮き彫りになってから3ヶ月が過ぎた。その間、日本は韓国を輸出優遇対象(ホワイトリスト)から除外し、韓国も同じ措置で対抗した。ついに韓国政府は先月11日、日本を世界貿易機関(WTO)に提訴すると発表した。「WTO韓日戦」の新しい幕が上がったわけだ。

日本が韓国に対する輸出規制を正当化する名分は、韓国が国際法に違反したということだ。日本は1965年、日韓請求権協定で過去の問題がすべて解決されたと主張する。このとき、個人の被害者の請求権も消滅されたとみている。昨年、韓国大法院が強制徴用の被害者たちの請求権を認め、賠償判決を下したのは協定違反であり、国際法違反であるという論理だ。

安倍晋三首相は今月8日、参院本会議で世耕弘成自民党参議院幹事長が「国家間の約束を破る行為を続ける」韓国との関係を聞くと、「韓日関係の根本をなす韓日請求権協定の違反状態を放置するなど、信頼関係を損なう行為を続ける韓国に対して、まずは国際法に基づいて国と国との間の約束を遵守することで、韓日関係を健全な関係に戻すきっかけを作ることを要求する」と述べた。韓日関係復元の責任を「国際法に違反した」韓国のせいにしたのだ。安倍首相にこのような所信表明の機会を与えた世耕弘成幹事長は、先日、内閣で経済産業相に日本の対韓国輸出規制を主導した人物だ。

WTOへの提訴は、韓国が日本の経済報復を無力化することができる最後の手段だ。日本が韓国の国際法違反を問題視して取った経済報復の違法性を現わすことが重要だ。世耕弘成幹事長が経済産業相だった時代、韓国に対する輸出規制措置を「規制」ではなく「管理」と書くようにマスコミに圧力を行使したのを見ると、日本もWTO規則違反の疑いを警戒しているのに違いない。日本経済産業省は、「日本の措置はWTO規則を違反したものではない」とし、「安全保障上の輸出管理を修正しただけで、直接的に輸出を禁止していない」という立場だ。日本が輸出規制品目の韓国輸出を完全に阻止せず、一部許可をしているのもWTO韓日戦で防御論理を繰り広げるための布石という指摘が出ている。

◆WTO韓日戦7件・・・事実上、韓国の「全勝」

実はWTO韓日戦は昨日今日のことではない。産業通商資源部によると、韓国と日本がこれまでWTOで争争ったり争っている事案は、今回の輸出規制まで計7件だ。日本が韓国を提訴したのが △日本産水産物の輸入制限 △日本産空気圧バルブの反ダンピング △日本産ステンレス鋼バーの反ダンピング △造船補助金など4件で、韓国が日本を問題視したのは △日本のDラム相殺関税 △日本の海苔輸入クォーター △日本の輸出規制など3件である。

通算成績は事実上、韓国の全勝だった。日本が昨年6月、自国産ステンレススチルバーに対する韓国の反ダンピング関税を問題視したのと同年11月、韓国政府の造船業の構造調整対策がWTOの補助金協定に違反したと主張し提訴したのは、今回の輸出規制の件は手続きが進行中であり、残りの4件はすべて韓国が勝訴した。

WTOは先月30日、韓国が日本産の空気圧送信用バルブにダンピング防止関税を賦課した措置に対して上訴機関の報告を最終採択した。これをめぐり、韓国と日本がお互いに勝訴したと主張して論議があったが、WTOが13個の争点のうち、一部の手続き的な争点を除いた10個に対して韓国の措置が協定に違反しないと判定しただけに、韓国が「判定勝ち」を収めたというのが業界の通常部の説明だ。さらに、日本が当初は韓国ダンピング率の算定方法について提訴せず、関税率の調整可否は最初から論外だった。韓国が2015年、日本産の空気圧バルブに対して今後5年間、最高22.77%の反ダンピング関税を課すことにした決定には、今回の判定に影響を及ぼさないということだ。結局、韓国の反ダンピング関税賦課を防げなかった日本が、一部の方法論的争点の有利な判定を根拠に勝訴を主張するのは説得力がない。

このほか、海苔の紛争は韓国が2004年、日本の海苔輸入クォーター制撤廃を要求してWTOに提訴したが、日本が2006年に韓国産海苔の輸入を大幅に増やすことにし、韓国の提訴取り下げで終わった。

Dラム紛争は、日本がハイニックスのDラムに27.2%の相殺関税を賦課して浮上したが、2009年4月にWTOの最終判定で韓国が勝訴し、日本の関税撤廃で終了された。

WTO上訴機構は、去る4月に韓国の福島周辺の水産物輸入禁止措置をめぐる紛争で韓国側の方を持った。

◆日本の輸出規制、WTOに提訴・・・3つの争点

政府が日本の輸出規制措置をWTOを通じて公式に問題視し、「提訴状」に該当する両者協議要請書に明記した日本のWTO協定義務の主要な違反事項は大きく3つである。

まず、日本が3品目に対して韓国だけを特定し、包括許可から個別輸出許可に転換したのはWTOの根本原則である差別禁止義務、特に最恵国待遇の義務違反であるということだ。

輸出制限措置の設定・維持禁止義務違反も問題視した。日本政府が事実上、自由に交易していた3つの品目を各契約別に必ず個別許可を受けるようにしたからだ。日本はいかなる形の包括許可も禁止した。このため、韓国企業はかつて日本で1〜2週間以内に調達できた項目を90日まで所要される政府許可の手続きを経て輸入しなければならず、いつでも拒否されることができるという不確実性も抱えるようになった。

最後に、日本の措置は政治的な理由で交易を恣意的に制限するものであり、貿易規定を一貫し、公正かつ合理的に運営する義務にも抵触するというものである。

政府はWTOを通じた紛争解決手続きの第1段階である両者協議を公式に要請し、日本が早急に今回の措置を撤回するように協議する方針だ。

両者協議は、WTO貿易紛争解決の最初のステップだ。両者協議で60日以内に合意がなされない場合、WTOに裁判所に当たるパネル設置を要請し、このパネルで事案を検討することになる。通常、パネルの決定と当事国の履行まで15カ月前後がかかる。

当事国のうち片方が判定に不服して上訴すると、上訴機関で事案を扱うことになる。上訴機構は60〜90日以内に報告書を提出しなければならないが、実際には数年がかかるのが普通だ。福島水産物の紛争も韓国が最終的に逆転勝をおさめるまで4年がかかった。

◆「存立危機」のWTO、提訴に懐疑論も

このような状況により、WTO提訴に対する懐疑論も少なくない。特に日本の今回の輸出規制が韓国経済の核心部門である半導体産業を標的にしたためだ。結果が保証できないWTOの紛争が長年続く間、日本の輸出規制の被害を避けることができないからだ。

さらに最近では、WTOの未来さえ暗鬱になった。ブルームバーグとロイターなど海外のメディアによると、最近WTOが設立以来、最大の危機に直面したと診断した。ドナルド・トランプ米大統領の脅威とともに、各国の利害関係が反映された断片的な改革の要求などが相次ぎ、WTOが存立の危機にさらされているということだ。

「世界貿易最高裁」に当たるWTO上訴機構は、まさに「開店休業」をしなければならない立場に置かれた。上訴機構はWTOに提訴された紛争事件を最初に審理し、判決するパネル事案に対する上訴を担当する。全7人で構成され、少なくとも3人がいる条件で決定を下すことができる。現在4人が空席であり、2人は今年12月10日に任期が終わる。 この日が過ぎると、最悪の場合、上訴機構は1人体制で機能を失うことになる。WTOの紛争解決手続がすべて麻痺するわけだ。アゼベドWTO事務局長は、連鎖的な貿易報復事態が伴われると警告した。

WTOは最近、再び激しくなった保護主義と電子商取引をはじめとする貿易形態の変化、技術発展などによる改革を要求されている。問題は、各国の要求をすべて満たす改革案をまとめるのが容易ではないという点だ。

ブルームバーグは、WTOが発足以来、初の合意である「バリパッケージ」を導出するでかで20年かかったとし、164の加盟国が新しい合意を成す可能性は少ないと予想した。WTOの初の包括合意であるバリパッケージは、2013年12月にようやくすべての加盟国の同意を求めることができた。WTOが発足した1995年以来、18年ぶりのことだ。これさえも貿易の円滑化など敏感性が少ない懸案に対する合意だけを盛り込んだ「スモールディール」だった。

 
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