V字景気回復の見通しがますます消えている。新型コロナウイルス感染病(コロナ19)が依然として世界で猛威を振るっているためだ。一日基準で全世界のコロナ19感染者は86万人に達する。1ヶ月前の8万人から、なんと10倍も急増した。世界1位の経済大国である米国内の感染者は68人から18万9510人まで増えており、死者も4000人を超えた。
累積感染者が急増したうえ、一日の新規感染者5万〜6万人にのぼる。国から国の移動はもちろん、国内の移動制限も長期化し、グローバル経済活動の萎縮も長くなるしかないという見通しが多い。
◆景気後退は既成事実化…景気回復がナイキのロゴ型になるとの予測で「ナイキ模型」まで登場
ベン・バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)前議長は先月25日(以下 現地時間)CNBCに出演し、「コロナウイルスによる経済衝撃は大恐慌よりは雪崩など自然災害と似ている」とし、「ウイルスの問題さえ解決すれば、比較的早く克服できるだろう」と述べた。
しかし、時間が経つにつれ、短期反発を支持する声は消えている。ジョセフ・スティグリッツ米コロンビア大教授は最近、「6月末までウイルスが消えない可能性がある。もしコロナ19事態が夏まで続くと、その(否定的な)影響は増幅するだろう」と強調した。
マイクロソフト(MS)の共同創業者、ビル・ゲイツ氏は1日、ワシントンポスト(WP)に寄稿したコラムで、米国全土にわたって『シャットダウン(閉鎖政策)』を実施しなければならないと主張した。ゲイツ氏は、「10週間、あるいはそれ以上がかかっても、米国でコロナ19感染事例が減少するまで、誰も普段のように仕事をしたり、閉鎖を緩和してはいけない」と強調した。
このように極端な措置を取らない場合、経済危機が持続し、感染症の再発率も高くなって、さらに多くの死者が発生する可能性があるという指摘だ。
ブルームバーグは「コロナ19患者の増加傾向が鈍化しても、過去のような日常に戻るには時間がかかるだろう」とし、「社会的距離置きもしばらく続く可能性が高い」と予想した。
ムーディーズ・アナリティックスのチーフエコノミストを務めるマーク・ザンディ(Mark Zandi)氏は、コロナ19以降、景気回復の形がナイキのロゴ型になるとの見通しをしたりもした。米国の経済成長率が第2四半期には年率で-25%を記録し、第3四半期には15%反発した後、第4四半期には遅々として進まないだろうという指摘だ。
◆コロナ・エフェクト…グローバル株式市場の苦戦も続く見込み
各国政府と中央銀行が経済不況と市場パニックを防ぐため、前例のない規模での財政・通貨刺激策に乗り出しているが、『コロナ・エフェクト(effect)』の懸念がV字反発を防いでいるという指摘も出ている。コロナ19による経済的打撃が、もう一つの経済衝撃を引き起こす可能性があるという主張だ。
ゴールドマン・サックスのマクロ戦略家、ジャック・ファンデル氏は先月30日の投資ノートで「今後数週間の間に、経済・保健の両方で悪いニュースが殺到するだろう」とし、「市場がこのような状況に応じた『テールリスク(Tail risk)』を十分に反映しているのか疑問だ」と述べた。また「今後、国家信用格下げ降格と企業の連鎖倒産のような新たな問題が浮き彫りになる可能性がある」と付け加えた。テールリスクとは、巨大な一回性の事件が資産価値に大きな波紋を投げかねない不安要素を意味する。
4月から始まる各企業の第1四半期の業績成績表は、市場の不安をさらに拡大する可能性もある。ファクトセットのアナリストらは、S&P500編入企業の今年第1四半期の純利益が前年比5.2%減少すると予想した。第2四半期には10%縮小し、第3四半期には1.1%減少すると予想した。
ブルームバーグは、「米国とフランスなどの国で企業の負債は史上最高値を記録している」とし、「負債急増と業績悪化、株価下落が重なると、企業の回復を早めるのに障害になりかねない」と指摘した。
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