[チョン・グンシクのコラム] コロナ総選挙、民心が表した5つの事実と2つの忠告

[写真・執筆=ソウル大学のチョン・グンシク社会学科]


世界が注目した韓国の総選挙が終わった。今回の選挙は、いわゆるコロナ事態が発生するまでは「チョ・グク - ユン・ソクヨル」という枠で行われるようにみえたが、選挙の結果をみると、コロナウイルスが選挙を決定したといえるほど、フレームの変化を経験したのに違いない。専門家でなくても、ほとんどの市民は今回の選挙を「与党の圧倒的勝利、野党の惨敗」と要約するだろう。事前の世論調査を通じてある程度このような結果が予測されたが、いざそれ現実化すると、少し衝撃的だ。コロナに対処する方法をめぐって、政府与党は透明で民主的な統制方式を採用した反面、野党は中国に対する閉鎖政策と権威的な制御方式を主張し続けたが、これに対する国民の評価が選挙結果として表れたといえる。

今回の選挙結果が示すもの

まず、今回の選挙は世界的にみて、コロナ大流行の局面で行われた初の政治イベントだったという点だ。国内的にはコロナ事態が鎮静局面であり、すでに予定されていた総選挙日程を守ることができたが、世界はそれよりも韓国のコロナ制御能力にもっと注目するだろう。

第二に、コロナ事態にもかかわらず、今回の選挙は非常に高い投票率を示した。特に期日前投票率が高かった。どうして多くの市民が投票に参加したのか?コロナ事態は、ある意味自分の運命を社会の運命と一致させる社会統合の効果を生み出し、もう一方では2カ月間持続した汎社会的距離置きの余波で、日常的な退屈の脱出が重要だった。高い投票率は、この二つの要因、特に市民の退屈さからの脱出欲求が表現されたものと解釈したい。

第三に、今回の選挙を通じて民主進歩陣営のオールドボーイたち、特に全羅道に根拠を置いた大物政治家たちがみんな落選し、確実に世代交代が進展した結果をもたらした。韓国政治で美しい退陣がどれだけ貴重で重要なのかを示した。

第四に、今回の選挙で野党は惨敗しただけでなく、重要な指導者たちがみんな落選した。暴言政治家たちも大きな打撃を受けた。このため、野党は新しいリーダーシップを構築するしかないが、その求心点が明確に見えず、当分の間、多くの混乱を経験すると予想される。肯定的に考えると、今回の選挙は合理的保守の再構成のきっかけになり得る。

第五に、ろうそく革命の過程で浮上した政治改革の課題として試みられた準連動型比例代表制が事実上、失敗した。野党は最初からこの制度の導入に反対しており、制度が導入されると、 衛星政党を作るというやり方を選択した。与党はかなり悩んだが、その後を追うしかなく、また衛星政党を交替するという2度目のやり方を選んだりもした。今後、この制度が持続するかどうかをめぐって多くの論争があるだろうが、少数の声を政治に反映しようとする試みは、大きな試練を受けることになった。配慮と寛容のない政治的後進性が明らかになったのも、今回の選挙の重要な特徴といえる。

教訓と課題

選挙が終われば勝者に祝賀を、敗者に慰労を送るのが道理だが、今回の選挙はそのような儀礼的な挨拶で終わるには気まずいところが多すぎるうえに、コロナの後続対策も急がれる。まず、コロナのせいで各政党の公認過程はいつになく不十分だったうえ、試行錯誤が多く、市民の検証を十分に受けなかった。当選者はこれを肝に銘じ、任期が終わるまで謙虚な姿勢で国民の世論を傾聴しなければならないだけでなく、ポストコロナ時代のニューノーマルの樹立に力を合わせなければならない。

最後に、われわれが注目して深く考えるべきことは、大邱の選択だ。大邱はコロナ事態で最も大きな被害を受けた都市だ。大邱市民は今回の選挙ですべて野党候補を選択しており、与党候補者は概ね30%程度の得票率を見せたが、いずれも落選した。これをどう解釈すべきか?韓国社会の最大の難題であり、韓国政治のもっとも大きな課題が大邱解法であることが再び確認された。大邱解法とは、市民の主体的選択を尊重しながらも、感情の政治や憎悪の悪循環を超える方案を模索することだ。
<亜洲日報の記事等を無断で複製、公衆送信 、翻案、配布することは禁じられています。>
기사 이미지 확대 보기
경북 포항시 경북 포항시
닫기