[キム・ホギュのコラム] 岐路に立った韓国のベーシックインカム

양정미 기자

登録 : 2020-10-12 11:05 | 修正 : 2020-10-12 11:22

[写真・執筆=明知(ミョンジ)大学のキム・ホギュン経営情報学科教授]


「韓国型」が流行している。韓国の新型コロナウイルス感染症(コロナ19)防疫が世界的に賞賛され、「K-防疫」が韓国の国内では一つの概念として定着している間、ポン・ジュノ監督の映画「パラサイト 半地下の家族」がアカデミー賞を受賞し、BTSの新曲「ダイナマイト(Dynamite)」が米ビル ボードのメインシングルチャート「HOT1000」で1位を獲得した。祝日の連休までオンラインで迎えなければならない韓国国民には、ソン・フンミンのゴールも痛快な喜びになった。政府と政界がこの雰囲気に便乗し、「K-防疫」「K-安全」に続き「韓国版ニューディール」「韓国型基本所得(ベーシックインカム)」「韓国型財政準則」などが横行している。

コロナ19感染が長期化し、ベーシックインカムが予想より早いスピードで韓国社会に定着している。もともと韓国社会は福祉に敵対的だった。経済成長に埋没した当時、福祉はまさに「福祉病」だった。協力より競争を優先する能力主義が韓国社会に蔓延してしまった。当然、福祉としてのベーシックインカムに対しても批判的な雰囲気が優勢だった。そのうえ、フィンランドの実験が失敗したという誇張された報道とともに、スイスでは国民投票で否決されたというニュースは、ベーシックインカムに対する議論まで封鎖する雰囲気だった。追加的な福祉需要がほとんどない世界最高の福祉国家で得られた実験結果が、経済協力開発機構(OECD)最悪の福祉国家にそのまま適用された。しかし、コロナ19感染病が長期化され、選別的ではあるが行動の先頭に立ったのは全州市だった。李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事が国際学術大会の開催などで世論の声を集め、コロナ19局面に「災難(災害)ベーシックインカム」を地域通貨として支給することを提案し、全国的な話題になった。名称は統一されていないが、2回にわたる支給で、災難支援金はコロナ19防疫の中心に立つことになった。

コロナ19の長期化は、第4次産業革命でもたらされる社会・経済的変化の速度をさらに高めるだろうという予想が説得力を得ている。新自由主義の「労働市場の柔軟化」によって正規職と非正規職で分断された韓国の労働市場が、第4次産業革命とコロナ19の長期化によって就業者と失業者に分かれる可能性が高いと予想される。その結果が不平等の更なる深化として現れることは当然だ。当初、簡単そうに見えた「非正規職の正規職化」という与党の解決策は、全く予想しなかった「公正性」問題に巻き込まれ、政権の国政哲学までもが挑戦を受けている。李在明知事は、第3次、第4次の災難ベーシックインカムの必要性を早くから主張しているが、最大のネックは企画財政部だ。企財部は特に第1次災難支援金で受けた屈辱を第3次災難支援金を阻止する制度的装置で解決するために「韓国型財政準則」を構想した。しかし「韓国型財政準則」を2025年から適用しようとする方針も「財政健全性」達成を次期政権に押し付けた過去の無責任な慣行を繰り返そうとしていると批判されている。国家債務比率60%、統合財政収支–3%のうち一つだけ合わせれば準則を満たしたものと設計されており、準則の実質的な拘束力も疑問視される。財政収支–3%は欧州連合が採択している基準だと言うが、国家債務比率60%は以前、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の叱責を受けた40%と同じで何の根拠がない。まるで国家債務比率は上昇するだけで、下落できないかのように設計したのも理解し難い。財政準則が企財部の政策視野を超える福祉政策提案は、容赦なく切り捨てるギリシャ神話の「プロクルステスの寝台(Procrustean bed)」になってはならないだろう。

驚くべきことは、野党の非常対策委員長の行動だ。彼が党の政綱・政策に最も先に強調したベーシックインカムを概念に近接して支給するには、莫大な財源が必要になる。人工知能とロボットの投入が拡散するほど、この財源を調達する生産から人間の労働を必要とするところは狭くなるだろう。大きな観点からいうと、選択肢は労働市場の外部柔軟性と内部柔軟性の2つだけだ。経済全体の労働量(総労働時間)が減るのに、個人別労働時間を維持すれば、失業者は量産され(外部柔軟化)、生産物の公正な再分配が核心課題になるだろう。一方、総労働時間が減る際、内部の柔軟化により個人の労働時間も減れば、雇用量は維持されることになるだろう。 核心課題は個人労働時間の公正な分配になる。また、外部の柔軟性が選択されれば、進歩的アジェンダであるベーシックインカムは大量失業によって極右のアジェンダに変質するだろう。与党が推進する「非正規職の正規職化」が泥沼化している間、労働市場の柔軟化問題を野党の非常対策委員長が正面から取り上げたのが極右バージョンに向けた事前作業なら、韓国社会にはよくないシナリオだ。このシナリオが懸念されるのは、彼が「5・18精神」と「太極旗部隊」に二股かけることができると勘違いしているからだ。
 
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