[イ・サンホのコラム] 生産性向上こそ成功のカギである

[執筆=イ・サンホ韓国建設産業研究院長(写真=亜洲経済)]


2019年初めから最低賃金の引き上げや所得主導や成長といった政府の経済政策をめぐる論争が熾烈だ。政府の経済政策の批判論者たちは、生産性を超えた賃金を支給する企業は持続可能ではないという。所得主導の成長は、生産性向上が後押しされなければならないと指摘する。しかし、いざ生産性向上のために何をどうすべきかについての論争は多くない。

第4次産業革命についての議論も似ている。まだまだ第4次産業革命の本質が生産性の革命だという事実はあまり強調されていないようだ。第4次産業革命の傍点は「革命」にある。過去3回にわたる産業革命と違って、今回はスマートデジタル技術を活用して生産性革命を達成しようとするのが第4次産業革命である。しかし、私たちは依然として人工知能、ブロックチェーン、ドローン、3Dプリンティングのような手段的な道具の活用や、最近問題になっているカープール(相乗り)サービスなど、共有経済に対する議論に関心が集中されている。

建設産業でも生産性の問題は大きく取り上げられていない。昨年第2四半期から建設投資増加率がマイナスに転じ、どのように建設市場を軟着陸させるかについての悩みは多い。適正工事費の確保や、建設現場の特性を反映した週52時間制の導入といった課題は直面する懸案だ。しかし、中長期的な観点から生産性はもはや無視できる課題ではない。最低賃金の引き上げ、週52時間勤務制の導入、非正規職の正規職への転換などをはじめとする労働問題は、労働生産性の向上とともに議論すべき課題だ。

国土交通部の第5次建設産業振興基本計画(2018~2022)や第6次建設技術振興基本計画(2018~2022)も、韓国の建設産業の低い労働生産性の問題を指摘している。グローバルコンサルティング機関であるマッキンゼー報告書によると、2015年基準で韓国の建設産業の労働生産性(=労働時間当たりの付加価値)は13ドルであり、先進国の3分の1水準にすぎない。ベルギーは48ドル、オランダは42ドル、英国とスペインは41ドルであるという。第6次建設技術振興基本計画が、目標どおり韓国の建設産業の労働生産性を40%向上したとしても、19ドルに過ぎないため先進国との格差はそれほど縮まらない。むしろ、先進国は建設産業のデジタル転換のような第4次産業革命の受け入れで労働生産性の格差をさらに広げるものと見られる。先進国との労働生産性の格差を放置する場合、韓国の建設産業のグローバル競争力はさらに墜落するだろう。

マッキンゼーは建設産業の生産性を今より48~60%まで画期的に高めることができ、費用は27~38%まで節減できると主張する。建設自動化をはじめとする第4次産業革命技術だけでなく、現場での実行改善、設計・エンジニアリング及び購買調達管理の改善、協力的契約方式の導入や人的力量の強化なども並行してこそ、このような生産性向上を果たすことができる。マッキンゼーはこのような成果を上げるための基盤が規制改革という点も強調した。韓国の建設産業の生産性向上のためにも、技術だけを見てはならない。「分業と専門化」という産業化時代の古いパラダイムを脱却し、「連結と統合」を可能にする産業構造の形成と画期的な規制改革を並行しなければならない。

最近になってマッキンゼーだけでなく、世界経済フォーラム(WEF)をはじめとする多くのグローバル機関が建設産業の生産性向上策を提案している。その理由は、どの国であれ、建設産業が国家経済や雇用に占める比重が大きく、少し生産性を高めるだけでも経済成長や雇用創出に大きく貢献できるためだ。また、先進国であるほど高齢化と青年層の建設業忌避および熟練工不足現象が深まっているのも生産性に対する関心を高める原因になっている。我々はこれに加えて最低賃金引き上げをはじめ、急進的な労働政策の変化を経験している。政府の経済政策や労働政策の急進的な変化に対処するためにも、生産性向上のための方策を講じることが急務である。

新年のグローバル経済は昨年より成長傾向が鈍化する見通しだ。韓国経済も同様だ。成長が萎縮するほど生産性の向上が重要だ。2019年には経済政策や労働政策をめぐる政治的攻防よりも、生産性向上のための建設的な論争が拡散してほしい。



 
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