[イ・サンホのコラム] 建設産業革新の本質と価値

[写真=亜洲経済ユ・デギル記者 dbeorlf123@ajunews.com(執筆=イ・サンホ韓国建設産業研究院長)]


革新成長は私たちの時代の話題だ。先端産業も技術革新が必要であるが、建設業界のような伝統産業は、その必要性がもっと大きい。国内総生産(GDP)に占める建設投資の割合が15%を超え、200万人以上が従事している韓国の建設産業は、経済成長と雇用創出に決定的な波及効果を及ぼす。

グローバルコンサルティング機関は、建設業界のような巨大な伝統産業を革新した場合、新たに得られる付加価値が非常に大きいという事実に注目している。マッキンゼーによると、世界的な建設市場の規模は約10兆ドルだ。ところが、建設業界の過去20年間の年平均生産性の増加率は1%に過ぎなかった。一方、世界経済の生産性は2.8%、製造業は3.6%も増加した。もし、建設産業の生産性増加率が世界経済のレベルまで上がれば、年間1兆6000万ドルの付加価値を創出することができる。年間1兆6000万ドルという数値は、全世界のインフラ所要額の半分を占め、グローバルGDPの2%に達する。マッキンゼーは、規制改革、政府調達制度の革新、現場実行の改善、新しいデジタル技術の活用、人材育成などを通じてグローバル建設業界の生産性を48~60%向上させることができると主張した。

国家レベルの建設産業の革新戦略も多い。英国は2013年に発表した「建設2025」を通じてライフサイクルコストを33%削減し、工事期間は50%短縮するとともに、温室効果ガスの排出量を50%削減する案を推進している。シンガポールは2010年から毎年2〜3%ずつ、生産性を高めるという 建設生産性向上を目指すロードマップを実践している。その方策としては、現場施工を減らして工場製作および組み立て方式を活性化するのが核心だ。日本もアイ・コンズトラクション(i-Construction)という名前で2025年までに情報通信技術(ICT)の積極的な活用を通じて建設現場の生産性を20%高めるという技術革新戦略を進めている。

グローバル建設会社も古い大型総合建設会社であろうと、新たに創業したスタートアップであろうとを問わず革新を進めている。私たちに優れたグローバル建設会社の代表格として刻印されているベクテルも、デジタル技術の積極的な活用など、内部プロセスの革新を通じて2020年まで事業費を20%削減、工事期間を30%短縮を目的とする「プロジェクト2020」を推進している。米国の建設スタートアップの中で2015年の創立以来2年でユニコーン企業に成長したカテラ(Katerra)は、設計 - 製造 - 現場組立および施工に至るバリューチェーンの垂直統合により、建設業界を根本的に変えると宣言した。このような建設生産方式の革新を通じてカテラは工事費と工事期間をそれぞれ50%ずつ削減することができると主張する。

全世界的に個別建設会社や政府レベル、国際的なレベルで広範囲に建設業界の革新が進められている。だとすると、建設業界の革新の本質や価値は何だろうか?ほとんどより安く、より速く、より良い品質の環境に優しい施設物を供給するという目標とビジョンを提示した。私たちはどうなのか?

もし韓国の大型建設会社やスタートアップが革新を通じて米国のベクテルやカテラのように工事費を削減し、工事期間を短縮するという目標を提示すると、おそらく建設業界から石を投げられるかもしれない。長い間、建設業界は住宅業界を除いて低収益と赤字状態から抜け出せなかったので、適正工事費の確保が他の何よりも大きな念願の課題であるからだ。

シンガポールのように工場製作と組み立て方式の拡大を通じて現場投入人員を減らすとすると、雇用創出に逆行するという非難も受けるはずだ。手抜き工事の防止と安全確保が重大な国家的・産業的な課題であるため、安く、速くすることが良いことではないという認識も広く共有されている。さらに、建設産業の産業的イメージが悪くて不公正慣行の改善が重要であるという認識も大きい。

このような事情なので「革新」という名のついた韓国政府の建設政策も、肝心の内容は外国でいう革新の本質や価値とはかなりの距離がある。一方ではスマート建設技術の導入と活用を主張しながら、もう一方では不良業者の退出や下請け構造および不公正慣行の改善を革新案として混ぜ合わせている。

もし、建設業界の技術革新の本質や価値は度外視したまま積弊清算だけに重点を置いていると、韓国の建設業界のグローバル競争力はますます低下することになるだろう。積弊清算と技術革新は、ツートラックに異なる接近をしてほしい。これからは建設業界の技術革新の本質と価値を生かすことができる政策がより重要である。
 
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