ICTが主導する金融革新・・・フィンテック超えてテックフィン時代が来る

  • 非金融会社が金融サービス披露

  • 100%非対面営業でコスト削減

  • 中国の導入率69%、テックフィン強国に浮上

[写真=gettyimagesbank]


2007年、オンラインオークション企業のイーベイ(eBay)を創業したピエール・オミダイアはフェイスブックのアプリを活用した融資サービス「レンディングクラブ」を披露する。お金が必要な人と余裕資金を運用したい人をつなぐこの方式はP2P融資の始まりとなり、約10年が過ぎて新しい金融サービスとして位置づけられた。現在、レンディングクラブは代表的な「ユニコーン企業」(企業価値が1兆ウォン以上のスタートアップ)に成長した。

2010年代の金融業界の主な話題が「フィンテック」(Fintech)だったとすると、2020年代には「テックフィン」(Techfin)になる見通しだ。フィンテックが「金融が披露する技術」であれば、テックフィンは「技術が披露する金融」だ。フィンテック企業の代表格がレンディングクラブだ。フィンテックとテックフィン。一見、言葉遊びのように見えるが、二つには明らかな違いがある

◇金融基盤なのか、技術基盤なのか

テックフィンの概念を最初に確立したのはアリババグループの馬雲(ジャック・マー)会長だ。ジャック・マー氏は、「フィンテックは金融システム基盤の上に情報通信技術(ICT)を組み合わせた反面、テックフィンはICTに基づいた上に金融システムを構築したサービス」とテックフィンの概念を説明した。

具体的にフィンテックとテックフィンの最も大きな違いは「主体」だ。フィンテックであれテックフィンであれ、新しい技術を組み合わせた金融サービスだ。ただ、そのサービスを披露する主体が伝統的な金融機関であるか、ICT企業であるかによって用語の使い方が分かれる。

ジャック・マー氏の説明によると、フィンテックは市中銀行がビッグデータ・人工知能(AI)などを基盤に披露した金融サービスだ。ICT企業が技術に金融機能を加えてサービスを出したならば、これはテックフィンになる。

もう一つの違いは、完全な非対面営業が可能かどうかだ。銀行が革新サービスを開始しても、直ちに営業窓口をなくすことはできない。窓口を訪問する顧客を相手に、商品加入、与信・受信、送金などの伝統的なサービスを捨てることができないという意味だ。

一方、非金融会社が披露する金融サービスは、銀行員のような仲介者が必要ない。テックフィン会社の「100%非対面営業」は、コスト削減につながる。レンディングクラブが従来の金融会社が扱う融資商品に比べて半分水準の金利を策定することができたのは、仲介手数料を画期的に引き下げたためだ。

◇中国、テックフィン強国になった背景

伝統金融の中心地は米国のニューヨーク、英国のロンドン、そして香港だ。だとすると、「新興金融」といえるテックフィン強国はどこだろうか。世界の金融専門家らは中国を注目する。

SK証券が発表した報告書によると、中国のテックフィン導入率は69%で、全世界で最も高かった。主要20カ国の平均普及率(33%)の2倍を超える数値だ。

報告書を作成したアナリスト、ハン・デフン氏は「クレジットカードが普及していない国、銀行業務の制約が高い国でテックフィンが活発に導入された」と、中国がテックフィン強国になった背景を説明した。

そして、中国をテックフィン強国にした企業が「中国版アマゾン」と呼ばれるアリババと中国のインターネット強者、テンセントだ。両社は簡単決済サービス市場に進出し、金融業界に第一歩を踏み出した後、インターネット銀行にまで事業領域を拡大した。

アリババは2005年、「アリペイ」を初めて披露しながら支給決済市場に進出しており、利用者数が昨年10億人を突破した。テンセントは中国版カカオトークである「ウィーチャット(微信)」を基盤に2011年、「ウィーチャットペイ」を披露し、使用者数が11億人に達する。

このように築いた顧客基盤は、銀行業を営むのに大きな資産となった。アリババとテンセントは2015年、それぞれインターネット銀行の「マイバンク」と「ウィーバンク」を立ち上げ、全世界金融市場の革新をリードした。特に、ウィーバンクはメッセンジャーのビッグデータ分析で個人向け信用融資市場を大幅に拡張し、大量の資本を調達しなくても、発足後2年で60兆ウォン規模の融資を実行した。

◇注目される韓国内のテックフィン企業

韓国にもテックフィン企業がある。ウィーバンクと同じく「国民メッセンジャー」のカカオトークを基盤に利用者を確保し、革新的なサービスを相次いで披露したカカオバンクが代表的だ。 2017年7月に発足したカカオバンクは、営業開始2年余りで1000万人の顧客を確保することに成功した。

簡単送金サービスの「トス(Toss)」を運営するヴィヴァリファブリカもテックフィン企業だ。2015年2月に発売されたトスは、公認認証書なしですぐに送金できる利便性を武器に、利用者を集めた。韓国の金融分野で唯一のユニコーン企業に成長したトスの利用者数は、現在、1600万人を突破した。早ければ来年7月には韓国内で第3のインターネット銀行であるトスバンクを発足する。

P2P企業も欠かせない。不動産ローン商品を専門とするテラファンディング、個人向け信用融資専門会社であるLENDITなどが韓国内のP2P市場をリードしている。特に、昨年10月にP2P金融法が国会本会議で可決され、これらの企業は一層注目される見通しだ。P2P金融法が制定されたのは、全世界で初めての事例だ。

銀行業界でもテックフィンへの関心が高まっている。金融会社のデータを他の金融機関または非金融会社も使うことができる「オープンバンキング」の時代が開かれ、テックフィン企業に市場の主導権を奪われるかもしれないという懸念のためだ。

去る10日、国会図書館で開かれた討論会で新韓金融グループ・デジタルR&Dセンターのチャン・ヒョンギ本部長は「ゴールドマン・サックスのようなグローバル金融会社も、自分たちはもはや金融会社ではなく、技術会社であるという」とし、「韓国の銀行もフィンテックではなく、『テックフィンピン』会社に進むべきだと思う。これこそ革新金融の方向だ」と述べた。
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