[キム・グァンソクのコラム]負債もダイエットする必要がある

[執筆・写真=韓国経済産業研究院のキム・グァンソク経済研究室長]


危機は負債を伴う。1997年のアジア通貨危機は対外債務が、2008年のグローバル金融危機はモーゲージ事態が危機を招いた。負債が急増し、これを返済できない状況に至れば、経済危機に見舞われることになる。2020年の新型コロナウイルス感染症(コロナ19)は「負債経済(Debt Economy)」に置かれた。負債は、将来に発生する所得を担保に現在のお金を使う行為である。現在のお金を使ったが、将来所得の担保力が疑われる。避けられない借金だが、返せない借金は避けなければならない。

経済の3大主体いずれも負債が急増したトリプルクラウン(triplecrown)状況に置かれた。トリプルクラウンはスポーツ用語で、普通一人の選手やチームが3大会で優勝することをいい、特定試合では選手個人が1試合で3つの記録を達成することを意味したりもする。家計・企業・政府それぞれの負債もトリプルクラウンを記録することになったが、優勝ではなく危機という名前の記録という面で懸念が漂う。

政府負債 – 政策基調の転換が履行されなければ

コロナ19ショックに対応するため、政府は2020年の一年間3度の補正予算を執行することになった。歴史上、第2次補正予算はあったが、第3次補正予算は初めてのことだった。規模の面でも約59兆ウォンにのぼる莫大な予算支出が断行された。

莫大は資金の投資は必要だが、資金が入るところはない状況なのだ。GDPに占める国家債務の割合を見ると、2020年は43.5%で最高水準だ。物価安・低成長・低雇用・低投資・少子化などすべてが「低低低」なのに国家債務だけがあまりにも高いと、経済に相当な負担になる可能性がある。経済が下降局面に入るときは法人税、所得税、消費税も減るわけだ。不動産政策さえ取引を萎縮させる方向で計画されており、譲渡税と取得税なども減ると判断される。税率を引き上げようとする動きが感知されるが、果たして税率を引き上げれば、税収が増えるかどうかも慎重に悩むべきではないか? 税率は取引の価格を意味するが、価格が上がれば取引が減り、かえって税収が減少する。

企業負債 – 中小企業、持ちこたえられるか?

売り上げが減り、運営資金の調達が難しくなると、企業は負債に依存することになる。企業各社の銀行融資残高は、2010年の535兆2000億ウォンから2019年は908兆7000億ウォンへと引き続き増加してきた。2020年6月までの残高は946兆7000億ウォンだ。特に、中小企業の負債増加傾向が明確にあらわれている。中小企業は相対的に危機対応力が不足し、資金余力も十分でないため、不況が長引く場合、危機の温床になる恐れがある。

信用リスクは中小企業の信用危険指数がグローバル金融危機以後、最も高い水準を記録した。国内外の不確実性を受け、脆弱業種を中心に企業の信用リスクが上昇した。特に中小企業の場合、実体景気の低迷により債務返済能力が低下し、信用リスクが高まると予想される。

家計負債 – 低所得層にリスクが集中され

政府の負債と企業負債も問題だが、庶民の暮らしを示す家計負債は簡単に解決できない領域だ。家計負債は2002年の465兆ウォンから2019年は1600兆ウォンに増加した。2020年第1四半期には1611兆ウォンを記録した。国民総所得(GNI)比家計負債の割合も2002年の59.4%から2019年は82.7%へと上昇した。家計負債の増加速度が所得の増加速度より速いのだ。

家計負債の増加速度よりも注目すべき部分は債務返済能力だ。すなわち、債務を返済できる能力が十分であるかが重要だ。低所得層の債務返済能力が大きく落ちている。低所得層に該当する所得1分位世帯は債務返済比率が2019年61.9%で、所得の60%以上を借金の返済に充てている。2016年には41.3%水準だったが大幅に上昇し、債務不履行の可能性が高い「ハイリスク群」が拡大した。相対的に2分位以上は債務償還比率が低く、2017年以後むしろ安定化する傾向を示した。

負債経済の時代、どうやって耐えることができるのか?

「負債ダイエット」が必要だ。まず、政府は財政健全性を考慮した政策運用が必要だ。積極的な予算支出が経済成長(投資拡大・消費増進など)につながり、これは再び歳入の増大につながるようにするのだ。R&D予算を供与し、公的インフラ建設に踏み切るなどの歳出計画には、必ず民間企業の新産業投資につながる歳入目標が反映されなければならない。経済ショックが集中した産業と階層を選別して集中的に支援し、堅実に経営しながら経済成長を牽引できるように計画されなければならない。好循環構造を作るべきである。

企業の信用リスクを管理しなければならない。企業の信用リスクは中小企業に集中している。 したがって、中小企業が運営資金を調達し、安定的な事業を営めるよう政策的呼び水が求められる。例えば、中小企業が営むドメイン事業と政府のデジタルニューディール及びグリーンニューディール事業がマッチングし、新たなビジネスチャンスが発掘されるよう誘導する必要がある。筆者は「未来シナリオ2021」を通じて企業もコロナ19のショック以降、経済的環境がどのように変化するかを積極的に探索しなければならないと強調した。ポストコロナの変化に逆行するのではなく、先導できるように準備しなければならない。

家計の債務返済能力を維持する必要がある。まず、公共勤労事業や社会福祉サービス業などを拡充し、低所得層が勤労所得を通じて生計を維持し、元金を償還できるようにしなければならない。第二に、過剰負債世帯を縮小しなければならない。手におえない水準の事業資金の調達やハイリスク資産への投資など投機的融資を規制するべきだ。最後に、財務健全性脆弱世帯向けの金融支援が拡大されなければならない。融資を受けることが難しく、高金利の金融業者に頼るしかない世帯を対象に、庶民向け金融支援を拡大するなど、生活の安定を図る必要がある。
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