[チェ・ソンファンのコラム]韓国経済に対する非理性的で危険な楽観

[写真・執筆=チェ・ソンファン高麗(コリョ)大学経済学科客員教授]


「第2四半期の国内総生産(GDP)の伸び率が予想より下がった原因は、内需の持ち直しにも関わらず、対外部門のショックが予想より大きいためだ。新型コロナウイルス感染症(コロナ19)の沈静化が続けば、第2四半期を底に第3四半期には相当部分を回復できるだろう」。先月23日に開催された政府の「第11回非常経済中央対策本部会議」で、洪楠基(ホン・ナムギ)副首相兼企画財政部長官の話だ。わずか1週間が過ぎた今月1日には「最近発表された国内指標で景気回復の希望が見える」とし「第3四半期には確実に回復させる」と確信に満ちて話した。

政府の経済首長がコロナ19に疲れた国民と、売り上げ不振が続いている企業に希望と自信を吹き込もうとするのは良い意図だといえる。実際、7月の輸出は1年前比-7.0%と、減少率が減速する様子を見せている中、国内の生産や消費、投資などの指標も改善の流れを見せている。誰もがこのような流れが続くことを願う気持ちだろう。よく経済は心理だという。しかし、期待が大きければ失望も大きいだけでなく、体感景気がそれに追いつかなければ、不満と怨望だけが大きくなりかねないということを警戒しなければならない。最近の不動産市場のように、政府がオオカミ少年になって信頼を失う可能性があるからだ。

韓国の経済成長率を主要国と比べてみれば、下げ幅が最も小さい方だ。第2四半期の成長率(以下前期比)で、韓国の-3.3%は中国の+11.5%と比べるとかなり低いが、スペイン(-18.5%)、メキシコ(-17.3%)、フランス(-13.8%)、イタリア(-12.4%)、ドイツ(-10.1%)、米国(-9.5%)などに比べると非常に良好な方だ。さらに、主要予測機関の第3四半期の成長率見通しも前向きだ。ブルームバーグがまとめたムーディーズやオックスフォード・エコノミクス、HSBCなど14の海外経済研究所や投資銀行(IB)の第3四半期の成長率見通しの平均は+1.3%だ。第1四半期(-1.3%)と第2四半期(-3.3%)の2四半期連続のマイナスから、第3四半期にはプラスに転じると予想しているのだ。第4四半期の成長率も+1.4%とプラスを続けるだろうと集計された。国内証券会社各社の予測値はこれよりやや高いが、大差ない。

ここで韓国経済の実質的な反発または体感的な回復を問うためには、二つのことを考えなければならない。一つは今年と来年の年間成長率の水準で、もう一つは前期対比成長率の落とし穴だ。まず、年間成長率では、第3四半期と第4四半期の成長率が+1%前半や半ばを記録しても、今年の年間成長率は-1%台を脱することができないだろうということだ。それも国際通貨基金(IMF)と経済協力開発機構(OECD)の見通しである-2.1%、-2.5%よりは高い水準ではある。 しかし、昨年ようやく2.0%を達成した時も、2017年の3.2%から2018年の2.9%に続き、成長率が下がり続け、厳しいと騒いだ。今年は泣き面に蜂のようにコロナ19事態が発生し、3年連続で成長率が低くなる上、マイナスにまで落ち、現場で感じる体感景気はさらに悪化している。問題は来年だからといってこれといった妙案がないということだ。IMFの来年の韓国経済成長率展望値は3.0%で、通貨危機直後(1998年-5.1%→1999年+11.5%)のような急激な持ち直しは難しいとみられる。幸い、来年の韓国経済はIMFの予測どおりに反発するとしても、韓国経済はようやく2年前の2019年の水準を回復するのに止まることになる。

第2に、前期比成長率が第3四半期にプラスに転じ、その後プラスが続いたとしても、その水準が低い場合、体感景気はなかなか好転しにくいということだ。前期対比成長率は直前四半期と対比した成長率で、第2四半期の成長率なら第1四半期と比較したものだ。したがって、韓国経済が第1四半期に続き第2四半期にも大幅なマイナスを記録した後、第3四半期に小幅のプラス(+1%台)に転じたとしても、コロナ19発生前の昨年第4四半期と比べると、依然としてマイナスにとどまることになる。中国の成長率は第1四半期に-10.0%から第2四半期は+11.5%へと転じた。数値上だけを見ても、中国の第2四半期の生産規模はすでに昨年第4四半期を上回り、文字通り「V字型」を描いている。一方、韓国経済の成長率は「L字型」、せいぜい「U字型」を描くと予想される。

それに、コロナ19が全世界的に猛威を振るったことで、第2波の可能性が高まっている。この場合、韓国経済は好転してから再び悪化する「W字型」は避けられないだろう。しかも、米国経済の回復と時期、米中対立の増幅、過度な最低賃金、週52時間など国内外の不確実性も残っている。このような状況で1~2ヵ月の流れがよくなったからといって、今後の経済の方向性について過度な自信を持つ必要はないのではなかろうか。また、政府が過度な希望と期待を呼び起こしたからといって、素直に信じる人がどれほどいるだろうか。現場では不満の声が高まっているうえ、不動産市場ですでに国民は騙されている。

希望のメッセージを伝えようという善意は良いが、善意が常に良い結果をもたらすわけではない。コロナ19は短期間で解決できる問題ではないという点で、一喜一憂するのではなく、むしろ忍耐力と防御的姿勢を要求しなければならない。善意で包装した非理性的な楽観または性急な楽観は、政府の信頼を失墜させるだけだ。信頼を失ったまま、コロナ19という前代未聞の危機をどう克服することができるだろうか。今は国民のための熱い胸より冷たい理性が必要な時だ。不動産市場で経験したように、経済は心理であると同時に信頼であるからだ。
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