[イ・ビョンジョンのコラム] 米大統領選とメディア戦争

양정미 기자

登録 : 2020-08-28 14:31 | 修正 : 2020-08-28 14:43

[写真・執筆=淑明(スクミョン)女子大学国際関係大学院のイ・ビョンジョン教授]


先週開かれた米民主党の全国党大会でバイデン前副大統領が大統領に指名され、共和党もまもなくトランプ大統領に指名する予定だ。11月初めの大統領選挙で2人のうち1人が勝利すれば、今後4年間、米国を率いることになる。米国人だけでなく、全世界の人々が超大国である米国の大統領選挙の結果を注視するだろう。ところが、今回の米大統領選挙は数多くの変数があり、不確実性がいつにも増して高まっている。誰が勝つのかという疑問も大きいが、果たしてパンデミックの渦中で選挙が無事に行われるだろうかという疑問も大きい。経済危機や人種差別問題で米国社会に不安がピークに達しているなか、さまざまなメディアが次々と数多くの真実やデマを流し、何が起こるか予測できない状況だ。

最近の世論調査によると、バイデン候補が若干リードしているが、その格差は縮まるという調査結果も続々と出ている。4年前の選挙でヒラリー・クリントン候補が世論調査でかなりリードしたが、結果的にトランプが当選したということもよく挙げられる。4年前のようにトランプを支持しているのに、世論調査で本音を言わなかった「シャイ・トランプ」(トランプ氏の隠れた支持層)が依然として多く存在するなら、世論調査の結果は信用できないだろう。専門家らは今後、新型コロナウイルスの行方やこれによる経済回復によって結果が大きく変わるものと予想する。

もう一つの大きな変数は、現在米国で大きな議論になっている郵便投票だ。ウィルスの広がりで多くの米国人が郵便による投票を計画しているが、調査によると彼らの多くは民主党のバイデンを支持している。トランプ大統領が新型コロナウイルスの危険を過小評価してマスク着用など防疫守則を無視する傾向があり、その支持者たちも似たような傾向を見せる反面、民主党支持者たちはもっと防疫守則を遵守しようとする傾向があるからだ。このため、郵便投票が多くなれば、バイデン候補がもっと有利になるというのが一般的な解釈だ。

これに対してトランプ大統領は、不正の余地があると主張する。特に、米国郵政局の過重な業務負担を理由に、郵便投票の副作用と危険性を連日強調している。側近の郵政局最高責任者も、郵便投票が容易ではないと主張している状況だ。このような論議の中で、もしトランプ大統領の当選が難しいと判断された時は選挙過程に対して問題を提起し、訴訟をすることになる。また最高裁判所が介入することになり、結果は長い間分からない迷宮に陥ることになる。実際、2000年の大統領選挙でジョージ・H・W・ブッシュ 大統領は、アル・ゴア候補より米国全体の有権者の得票では後れを取ったが、論議の多い最高裁判所の判断で当選が確定された。

問題は、大統領選挙を巡ってこのような論議と対立がマスコミを通じてさらに増幅することだ。現在、米国のマスコミは韓国のように極端に左右に分裂している状況だ。ニューヨークタイムズ、ワシントンポスト、CNNなど伝統的な有力メディアは反トランプ陣営にあり、フォックスニュース、OAN、ナショナル・レビュー、ウィークリー・スタンダードなど新たなメディアはトランプを支持している。ブライトバート・ニュースなど多くのインターネット基盤メディアも共和党を支持する右翼だ。そのうえ、トランプ大統領は本人が直接ツイッターを通じて支持者と疎通しており、力を得ている。7000万人以上のフォロワーはトランプ大統領が送るツイートにリアルタイムで接し、彼の政治的資産として活用されている。

インターネット基盤のメディアやソーシャルメディアの場合、伝統的なメディアより信頼性を担保できないため、多くの陰謀論の中心になるのが問題だ。特にキューアノン(Qanon)という極右陰謀論追従集団は、ソーシャルメディアを通じて政治関連の多くの陰謀を流布している。 例えば、米民主党が児童の性的搾取に関与したという根拠のないうわさを広めたことがある。郵便投票に対する疑惑や新型コロナウイルス関連の各種デマもこのようなメディアを通じて流布され拡散しており、米国社会の混乱を加重させている。

このため、フェイスブックやツイッターなど大手ソーシャルメディアのプラットフォームはそれなりに対処しようとしているが、力不足だ。特にフェイスブックは、嫌悪発言などの取り締まりに消極的なので非難を浴びており、広告主のボイコットにつながっている。白人警察による過酷行為で死亡したジョージ・フロイドによって引き起こされたデモの際、トランプ大統領の「略奪が始まれば銃撃も始まる」という不気味な発言をそのまま掲載して攻撃を受けた。ツイッターが素早く対処したのとは対照的だったからだ。マーク・ザッカーバーグ氏は表現の自由を掲げてフェイスブックの立場を擁護しているが、非難は避けられなかった。

米国で政治家はメディアをうまく活用することが常に重要だった。フランクリン・ルーズベルト大統領は当時、新メディアであるラジオを効果的に利用して大衆の支持を得た。また、ケネディ大統領はテレビ討論でニクソン候補を圧倒して選挙に勝った。オバマ大統領とトランプ大統領も選挙でソーシャルメディアの恩恵を受けた。今回の米国選挙でもメディアは重要な変数になるだろう。メディア、特にソーシャルメディアが発達している韓国としては関心を持って見守ることが必要だ。理念的に社会とマスコミが激しく分裂するのは両国が似ているからだ。
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