[ノ・ヒジンのコラム] ESG経営の推進方策

[写真・執筆=ノ・ヒジンSK証券監査委員長(元資本市場研究院先任研究委員)]


基本的に企業の経営は、企業経営者が株主の利益のために最善の努力を尽くすことである。新型コロナウイルス感染症(コロナ19)のような新しい伝染病の出現と気候変動の危機などは、企業経営の変化を要求している。環境と保健分野は政府の役割と認識されてきたが、企業の協力なしに、こうした分野の問題を解決することは難しいという認識が生まれた。このため、新たな企業経営パラダイムであるESG(Environmental、Social and Governance・環境、社会、支配構造)経営に対する関心が高まっている。

国際標準化機構ISO は、企業の社会的責任(Corpoate Social Responsibility)に関する国際標準としてISO 26000 を発表している。環境、人権、労働慣行、公正運営慣行、消費者問題、地域や社会的貢献、組織の支配構造など、企業の社会的責任に関する7つの核心的イシューを提示した。企業の社会的責任も環境、社会、支配構造が核心イシューであることが分かる。ESG経営が得意な企業はCSRを果たす企業といっても過言ではない。こうした観点から、ESG経営の推進方策を探ってみたい。

企業経営者は短期的な利益増進のための経営をする傾向があるが、企業が短期的利益のために社会的責任を疎かにすると、消費者の反感を買うようになり、企業の長期存続が難しくなりかねない。

学界に広く知られた企業の社会的責任は、企業が社会に対して経済的・法的・倫理的責任を負うという意味だ。それだけでなく、相互協力関係を構築してリスクを減らし、機会を捉えて長期的な企業価値を高める一連の経営活動である。すなわち、企業の長期存続や利益極大化のために努力するものの、社会的責任を怠ってはならないということだ。

今後、企業が直面する環境の重要性が大きくなっているだけに、ESG経営はますます重要になるだろう。気候変動を緩和する目的で温室効果ガス削減関連の国際協約が締結されている。韓国の国内でも排出権取引制度などにより、環境的要因が企業の収益に直接的な影響を及ぼすようになった。

企業の社会的責任を求めるさまざまな利害関係者が登場している。かつて企業は株主に対する経済的・法的責任にとどまっていたが、最近では倫理的責任が要求されている。企業の責任は株主利益の極大化から、利害当事者全員の利益を追求する形に変化している。

企業の社会的責任の国際標準が形成されつつある。金融機関が投資する際に、経済的・社会的・環境的責任を同時に考慮する社会責任金融(Socially Responsible Finance)が浮き彫りになっている。金融機関は企業価値の評価などにおいて、社会的責任を考慮し、企業の持続可能な経営情報を要求している。

今後、企業のESG経営方針は選択肢の問題ではなく、企業の長期存続のために必須となる経営戦略になるだろう。何よりも最高経営者の認識転換が必要だ。企業の社会的責任の遂行が企業競争力の新たな要素であることを認識し、これを実質的に実行するために努力しなければならない。

企業のESG経営のためのインフラ構築が必要である。重要インフラとしては、国内の実情に応じたCSR標準やマニュアル、CSR関連の経営報告書、環境・社会・支配構造情報の公示システム、CSR成果モニタリング及び評価体系の確立などだ。

ESG 経営は自発的な経営戦略の一環であるが、これに対する政府レベルの支援や努力も必要である。企業の長期存続のためには、企業の社会的責任に関する適切な規律体系が設計されなければならないだろう。

韓国の場合、特に大企業と中小企業間の取引慣行に対するCSR活性化策が必要である。大手企業は中小企業をパートナーと認識し、従来の不公正取引慣行を改善したり、社会的企業への支援を通じた企業の社会的責任活動を検討する必要がある。
<亜洲日報の記事等を無断で複製、公衆送信 、翻案、配布することは禁じられています。>
기사 이미지 확대 보기
경북 포항시 경북 포항시
닫기