[ホン・ジュンピョのコラム] 2022年の経済キーワードは「正常化」

[写真・執筆=現代経済研究院のホン・ジュンピョ首席研究委員(産業研究室長)]


2022年の経済は、正常に進む道程がより確実になると予想される。2020年には新型コロナウイルス感染症(コロナ19)によって全てが止まり、景気が冷え込んだ。2021年には需要が急増し、ボトルネック現象で物価が急騰している。2020年に予想した2021年の展望キーワードは不確実だったが、それでも持ち直しや復帰などだった。今年に展望する2022年のキーワードもやはり反騰や復帰などが中心の「正常化」だ。しかし、昨年の今頃とは温度差がある。来年の景気の流れは正常的な状態に戻ると予想される。そのような面で、2022年の景気の流れを予想してみよう。

まず、ワクチン接種が早まり、治療薬の開発が遠くないことを期待しながら経済活動の正常化が安着すると予想される。2021年はワクチン接種が始まったとはいえ、コロナ変異株の出現や突破感染などでコロナ19の再拡散がしばしば発生した。先進国と新興国間、それとも先進国内でも国別にワクチン接種の格差が生じ、経済正常化は進んでいない。それよりはボトルネック現象や求人難、原材料価格の上昇など、正常化への道で発生する副作用が浮き彫りになった。

例えば、供給網ショックで支障をきたし、運送費が急速に上昇した。英国海事コンサルトのドリューリー(Drewry)によると、上海発の欧州行きコンテナ運送費用は1年前比7倍(約1万4000ドル)上昇しており、世界平均では約4倍ほど上昇した。これは、コロナ19で萎縮していた経済活動がワクチン普及などの要因で正常化し、景気が回復して原材料需要は拡大して在庫切れが早かったものの、中止していた生産施設の稼動再開が円滑にいかず、供給がはるかに不足していたからだ。

このようなボトルネック現象は2022年の年初冬を過ぎ、春、夏になってから徐々に改善されるとみられる。冬季に深刻だった暖房需要が緩和し、各国でエネルギー価格上昇傾向の安定化政策を展開すると予想される。逆説的にも、ボトルネック現象が緩和されるという見通しの背景には、短期間に拡大していた需要が正常化する、すなわち若干鈍化するだろうというのが理由である。原材料の中で価格が最も急速に上昇した銅や鉄鋼の価格は、今年下半期に下落傾向を見せながら安定を取り戻している。

原材料価格の上昇傾向の減速にも関わらず、物価上昇の勢いも減速するかどうか疑問だ。物価は原材料だけでなく、賃金、流動性、金融政策、全般的な景気の流れなど、考慮すべき要因が非常に多く、複合的に考えなければならないためだ。在宅ワークのために職場を離れた労働者たちが、なかなか戻ってこない。米国の場合、労働に対する需要は速やかに回復しているものの、労働力供給はこれを満たせず、今年5月からは企業が労働者を希望する求人者数が、雇用を希望する労働者数より多い現象が現れている。追加の賃金を払ってでも労働者が欲しい現象が発生しているのだ。失業支援金が莫大に支給され、労働者が敢えて職場に復帰する必要性を感じなかったかも知れない。職場に復帰すれば、再びコロナ19に感染するリスクが高まり、職場に戻ることさえ考えられないかもしれない。理由は何であれ、コロナ19を経験し、労働力の超過需要現象は簡単には解消されない可能性が高い。

ボトルネック現象や物価上昇傾向の正常化がどれだけうまく進むかが疑問である分野なら、金融政策の正常化はほぼ既定事実化している。グローバル金融危機を経験した主要諸国は今回のコロナ19危機を迎え、非常に迅速に財政支出を拡大しており、その規模も類を見ないほど膨大な財政を供給した。量的緩和を実施し、政策金利を引き下げるなど、緩和的な金融政策も速やかに実施した。主要国は少なくともGDP比10%、多くは50%以上に当たる財政支出の拡大政策を実施した。主要国の経済規模はコロナ19以前の状況を回復した。これからは主要国の金融貨政策と財政政策は正常化に向けた作業を続けることになるだろう。 重要なのは正常化か緊縮かにかかっている。

グローバル金融政策の側面で最もパワーがあるとされる米国の金融政策を予想してみると、年内に米連準は量的緩和を縮小することが確実視されている。今年9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で連準は「来年半ばごろに終了する緩やかなテーパリングが適切 」との認識の下で11月のFOMCでテーパリング計画を発表する場合、11月もしくは12月中旬から施行する案を議論した。このように、すでに経済主体の関心は、量的緩和の縮小よりは金利引き上げに多くの関心を傾けている。

市場が関心を持っている金利引き上げは、景気回復の速度に合わせるか、あるいは先制的に進めるよりは、一歩遅い速度で進められる可能性が高い。その理由は、量的緩和の縮小を行う場合、グローバル金融市場の反応が敏感になり、これについて中央銀行は市場の反応を見極めながら金融政策の緊縮スピードを調整するだろうと予想しているためだ。グローバル経済状況がコロナ19拡大の長期化により非友好的に展開されている上、供給網正常化への遅延などによる高いインフレのため成長傾向が鈍化しているにもかかわらず、やむを得ず緊縮日程に進入する場合、市場が大きな打撃を受ける可能性がある。

中央銀行と金融市場との慎重な意思疎通が行われた量的緩和の縮小だとしても、もし金利引き上げが早期に実施されうるという不確実性が浮き彫りになる場合、市場の混乱は簡単には統制できなくなるだろう。金融市場は金利変化に予想より敏感に反応するだろうし、コロナ19危機対応のために拡大した莫大な負債負担は実体経済に莫大な負担をもたらすと懸念される。すなわち、金融政策の正常化を超え、緊縮にまで急ぐ理由はない。

時間が来年に終わらず、その後があることも考慮すれば、来年は投資の拡大を目にする1年になるだろう。今年経験した広範囲なボトルネック現象を打開できる戦略は、投資拡大以外にはないということを企業と政府はよく知っている。これまでは貿易自由化の波と共に、中国をはじめアジアに生産工場を建設してアウトソーシングで効率化を図ってきたならば、これからは生産施設の国内復帰、必須部品と労力の国内供給に代替する戦略が欠かせないと予想される。これまでリショアリングはキャッチフレーズに過ぎなかったら、今後は必要による自国内投資拡大が実質的に現れるだろう。パンデミックによるボトルネック現象が実物投資の必要性を大きく高めるきっかけになったのだ。伝統的なインフラ投資はもちろん、パンデミックを経て必要性がさらに高まった新産業部門に対する投資や、炭素中立トレンドに追いつくためのエコ設備部門に対する投資も注目しなければならない。

結局、2022年はワクチン接種の拡大や治療薬の開発などの影響でコロナ19による「停止」が解消され、経済活動が再開される強度が加わるだろう。コロナ19は依然として我々の周りにあるだろうけど、これまで活動に支障をきたしたほどではないだろう。金融政策が正常化しても緊縮と感じるほどではなく、投資拡大が経済活動の正常化を牽引するとみられる。
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