[オ・ジョングンのコラム] 先進国入りの関門「地域均衡発展」・・・『もはや地方分権だ』

[写真・執筆=オ·ジョングン韓国金融ICT融合学会会長]


尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は6大国政目標を提示した。その中の一つが「大韓民国のどこでも暮らしやすい地方時代」だ。住む所の違いが機会と生活の格差につながる不平等をなくし、「首都圏偏り-地方消滅」の悪循環を断ち切り持続可能な大韓民国建設を目標にするという意味だ。尹大統領は当選者時代、数回にわたって「尹錫悦政府は地方時代」というモットーで国政を推進するという意志を表明した。なぜよりによってこのタイミングにこのような国政目標を提示しているのかが重要だ。大韓民国は過去60年間、世界最貧困国から今日先進国入りを果たす「漢江の奇跡」を成し遂げ、世界経済開発史で類を見ない偉業を達成する経済開発を推進する過程で、限られた資源を効率的に配分する中央集権的政策を中心に経済政策を推進してきた。その結果、地域的に均等に発展するよりは特定地域や首都圏中心に発展してきた。しかし、もはや大韓民国は地域的に均等に発展しなければ、これ以上発展できない限界に直面している。特にソウル・仁川・京畿など首都圏と非首都圏の格差がこれ以上続いてはならない限界状況にまで至った。

地域内の経済活動と所得程度を示す地域内総生産(GRDP)が2015年を分岐点に首都圏比重が非首都圏比重を上回り始めた。最も大きな要因は2つ程度を考えることができる。第一に、第4次産業革命の進展で賃金が高い人工知能・ブロックチェーンなど先端情報通信技術産業が首都圏に集中している。最近、首都圏では情報通信技術企業が賃金を問わず開発人材の迎え入れ競争を繰り広げているほどだ。首都圏大学の情報通信技術人材養成が非首都圏大学より活性化されている点も重要な背景だ。企業は人材確保が容易な地域に工場を建設するものだ。最近、慶尚北道(キョンサンブッド)亀尾(クミ)で半導体工場を誘致するために10年間工場敷地の無償提供を約束したにもかかわらず、工場誘致が不発に終わった。理由は高級人材を確保できないということだった。

第二に、文在寅(ムン・ジェイン)政府の所主性(所得主導成長)によって青年たちの非正規職が急激に増加しているが、首都圏に比べて非首都圏の非正規職比率が約5%ポイント程度高いことが明らかになっている。それだけ非首都圏に働き口が少ないという意味だ。賃金や所得水準が低いのは言うまでもない。これを反映して首都圏の就業者比重が2017年を分岐点に非首都圏より多くなり始めた。2030青年たちは年間約9万5000人が首都圏に進入している。このような現象を反映し、首都圏人口の割合が2020年から非首都圏を凌駕し始めた。

首都圏に青年層を中心に人口が集中して首都圏の住宅価格が上昇する要因にもなり、結婚が遅れ、少子化を招く原因にもなっている。2021年の全国平均合計出生率が0.81であるのに比べ、ソウルの合計出生率は0.63と大幅に低い水準だ。青年層が高賃金の働き口を探して首都圏に集中し、出産率が低くなり人口が減少する結果を招いている。首都圏の人口比重が50%を超え始めた2020年を分岐点に人口が減少し始めている。2030年代初めに5000万人台を割り込み、2050年頃には4000万人台も下回るだろうという見通しが出ている。人口が減少すれば、生産可能人口が減少し、潜在成長率が下落する。2030年代になると、韓国の潜在成長率は1%水準に下落すると予想されている。一言で言えば、このまま行けば韓国の国力が悪化の一途を辿ることは間違いない。もはや大韓民国は、地域均衡発展を推進しなければ、大韓民国が墜落する危機状況に直面しているのが実情だ。

それなら、どうすれば首都圏への偏り現象を解消し、地域均衡発展を成し遂げることができるだろうか。尹政府は6大国政目標の一つである「大韓民国のどこでも暮らしやすい地方時代」という目標を達成するために3大約束と15大国政課題、76大実践課題を設けた。合わせて17市道別にそれぞれ7大公約を履行するための15大政策課題も設定した。地域不均衡問題を是正するため、すでに参加型政府時代から大統領直属の均衡発展委員会を設置し、10の革新都市を建設して153の公共機関の移転を断行してきた。4大企業都市も建設した。この他にも経済自由区域、自由貿易地域、外国人投資地域、研究開発特区、先端医療複合団地、科学ビジネスベルト、地域特化発展特区、産学融合地区、規制自由特区など15種の各種特区が215ヵ所も設置され、産業団地は国家産業団地47ヵ所を含めて1249ヵ所も建設して運用している。それにもかかわらず、近年になって首都圏への偏り現象がさらに深刻化し、ついに人口減少を招く実情にまで至った。最も大きな原因は、これまで「地方分散」はある程度推進されてきたものの、「地方分権」にならなかったためだ。数多くの革新都市や企業都市、特区、産業団地などにもかかわらず、地域自治体首長として法人税引き下げ、規制廃止など企業誘致に必要な措置ができるものがあまり多くなく、中央政府が提供する千編一律的な団地だけを造成した結果、空き団地も量産されるなど実効性が小さかった。

したがって今回は地方分権を強力に推進し、地域自治体首長が法人税引き下げ、規制廃止など権限を持って地域主導で地域特性に合う地域経済発展政策を推進する方向にパラダイムを転換する政策が国政課題に含まれた。権限が移譲されるだけに財政分権も実質的に行われるようにしている。地域にも先端企業が入るほどの優秀人材を養成できるよう、地方大学の人材養成システムも革新しなければならない。「教育自由特区」も導入し、幼い頃から自由に創意的な優秀人材を養成する制度を試験的に導入する方案も推進する必要がある。今は地域大学と地域が共存する大学4.0時代だ。地域が必要とする人材を地域の大学が供給しなければならない。このようになると、地域特性を生かす企業が設立され、それに必要な人材が地域大学で養成され、青年たちの首都圏偏り現象を解消できるようになるだろう。

このほか、首都圏に対抗できるよう、地域圏域別でも規模の経済になるメガシティと呼ばれる超広域地方政府を設置して運用する必要がある。最近、釜山・蔚山・慶尚南道の特別連合協約はこういう意味で大きな意義がある。今後、大慶圏、忠清圏、湖南圏にもこのような超広域地方政府または連合が誕生すれば、地方にも首都圏に対抗できる経済圏域が誕生するのだ。しかし、これだけでは足りない。青年たちが先端産業の高賃金を追って首都圏に移動している。地方メガシティにも首都圏の板橋バレーのような圏域別グローバル革新特区が造成されたり、既存の各種革新特区を革新して再誕生させなければならない。この革新特区の要諦は規制フリーと共に人材を養成できる大学と研究機関や、青年創業が可能なベンチャー企業、そしてベンチャー企業にベンチャー資金を供給できるベンチャー金融が共に存在しなければならない。このようになっているところが英国のテック・ユーケイ(Tech UK,)米シリコンバレーと機会地域、スイスクリプトバレーなどだ。このような環境の中で青年たちが働きたがっている地域特化の高級雇用が創出されれば、首都圏への偏り現象が解消され、均衡発展が可能になるだろう。この他に欠かせないのが青年たちが暮らしたがるほどの快適で安全な定住環境の造成だ。もはや地域均衡発展は、韓国が発展するために不可欠な当面の時代的課題であり、歴史的使命である。
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