[パク・スンチャンのコラム] 中国の「デジタル・ビッグバン 」に注目すべき理由

[写真・執筆=パク・スンチャン中国経営研究所長兼龍仁大学中国学科教授]


今年、両会の李克強首相の政府業務報告書でデジタル経済が核心キーワードとして登場して以来、最近各地方政府別にデジタル経済建設が盛んに行われている。7月初め、広東省汕頭市で「2022年中国デジタル経済革新発展大会」が開催され、8月末には江西省上饒市で300人余りのデジタル経済関連学者および専門家、企業が参加した「2022年中国デジタル経済産業大会」が盛況裏に開催された。その他に大小の関連フォーラムやカンファレンスが開かれ、デジタル経済が最近ホットイシューとして浮上している。核心はスマート都市、デジタル農村、集積回路とAI、ビッグデータ、メタバースなどの産業分野で技術革新と供給能力向上を通じて「デジタル中国、デジタル強国」建設に一層拍車をかけるということだ。中国のデジタル経済発展は2013年、習近平主席の第5世代指導部の発足と軌を一にする。2015年に発表された中国製造2025とインターネットプラスなど多様な高付加価値産業育成政策はすべてデジタル経済カテゴリーの範囲に含まれる。特に2020年のコロナ禍以降、中国はデジタル経済を基盤にした経済成長を一層強調する雰囲気だ。「非デジタル分野に1ドルを投資すればGDP3ドルを創出する一方、デジタル分野1ドルを投資すれば25ドルの付加価値を創出し、乗数効果が約7倍大きくなって今後の中国経済成長のエンジンの役割を果たすことができる」という話だ。そのような努力で、2021年のデジタル産業化規模は8兆3500億元(約1665兆ウォン)で、前年比11.9%増加した。

私たちが中国のデジタル経済成長に注目しなければならない理由は大きく3つに要約できる。第一に、中国政府の明確な主要業績評価指標(KPI)設定と実践力だ。中国共産党は明確なKPIを設定し、それを持続的に達成してきた。そうでなければ、中国が今のように早い成長と変化を遂げることはできなかっただろう。強大な共産党エリート構造の中でKPIが低い官吏が昇進できず、もしその場合、反対側にある権力構造の中で生き残ることはできない。この10年間、中国デジタル経済が非常に早く成長したのも明確なKPIに根拠して発展したためとみられる。2012年のデジタル経済規模11兆元(約2194兆ウォン)から2021年には45.5兆元(約9076兆ウォン)に急成長し、中国全体GDPで占める割合が39.8%に上る。2022年1月、中国国務院が発表した14∙5デジタル経済発展計画に関する通知(十四五数字经济发展规划的通知)でも、今後デジタル経済の発展に対する明確なKPIを提示している。例えば、デジタル経済の核心産業の付加価値GDP比重を2020年の7.8%から2025年に10%、インターネットプロトコルバージョン6(IPv6)活性ユーザ数を2020年4.6億人から2025年8億人、SWやITサービス業の規模を2020年8.16兆元(約1627兆ウォン)から2025年に14兆元(約2792兆ウォン)、電子商取引の交易規模を2020年の37.2兆元(約7422兆ウォン)から2025年には46兆元(約9175兆ウォン)に拡大するという明確なKPIを提示している。2025年の中国デジタル経済KPIの目標実現に向けて忙しく動いており、それによって今後、中国デジタル経済規模は一層成長して高度化されるだろう。

第二に、メイド・イン・チャイナから脱し、「デジタル・イン・チャイナ」への転換を通じて今後、デジタル強国と位置づけられる可能性が高いということだ。過去安い人件費基盤のメイド・イン・チャイナで次第に知識技術基盤のデジタル産業へと急速に再編されることを意味する。何より2018年、米・中貿易戦争が本格化され、中国政府は引き続きデジタル経済の成長を強調している。国家主導のデジタル経済だけが今後、米国に対応できる唯一の方法であり、解決策として考えている。先行しているデジタル人民元の領域をさらに高度化させ、グローバルな金融覇権に積極的に対応していき、中国科創板(上海証券取引所が開設した新しい株式市場)内のデジタル産業の割合を90%以上に拡大させて未来・資本市場の主導権を捕まえるという戦略だ。もちろん、短時間で達成することは容易ではないが、いつもそうだったように、中国は国家主導で影響力をさらに強める可能性が高い。また、最近浮上しているメタバースなどの先端技術を活用してその他産業との融合を拡大させている。特にメタバースが中国デジタル経済の核心アジェンダとして浮上し、急速に成長していることに注目しなければならない。北京、上海、杭州など主要都市別にメタバース関連産業の育成政策が殺到し、テンセント、小米などのプラットフォーム企業だけでなく、多くの新生ベンチャー企業らも参加している。上海市の場合は「メタバース産業育成行動案(2022~2025年)」を発表し、主導的に市場を牽引している。上海市は5Gとビックデータを基にメタバース産業を本格的に育成する方針だ。細部的には2025年までにグローバル競争力を備えた10の核心企業と100のメタバース前庭企業を育成するための関連インフラを積極的に支援する方針だ。これを通じて、2025年までにメタバース関連産業規模を3500億元(約70兆ウォン)に拡大させ、上海市SWおよびITサービス産業規模を1.5兆元(約299兆ウォン)、電子情報製造業規模を5500億元(約110兆ウォン)に成長させるという目標だ。

第三に、データを基盤にデジタルガバナンスを構築し、共産党執権体制をさらに強固にしていく可能性が高い。中国はビッグデータ帝国であり、14億人のデータ資源は国家管理の基礎になる。国家安全と革新ガバナンスという名前でデータを収集し、国家が戦略的なDBを構築している。デジタル経済は今後、量子コンピュータ、ブロックチェーン、6Gなどの先端技術とインフラを通じて既存のデータと融合させ統制可能な次世代ビッグデータインフラである「ビッグデータインターネット(Internet of Big Data)」を構築することができる。これはすなわちデジタルガバナンスシステムの構築を意味する。国家次元のビッグデータシステム構築を通じて多様なデータが中央-地方政府間の相互共有され不必要な時間をなくし、操作された政務および経済統計を是正し、これと同時に歪曲された情報を正して共産党体制をより一層強固にすることができるためだ。

破壊的な革新を越えてビッグバン型破壊とトランスフォーメーション時代の最も中心にある国がまさに中国だ。単純なコミュニケーションメッセンジャーからプラットフォームに進化したウィーチャットのビッグバン、フィンテックビッグバン、モビリティビッグバンなど多様な産業と技術でビッグバンチャイナが起きている。結局、14億人のデータがティッピング・ポイントを越えてデジタル経済の全産業に拡大し、ビッグバンチャイナは急速に進化するだろう。中国は単純製造業の雇用創出を越え、デジタル経済への構造的転換を通じて新しい雇用を創出し、未来先導型国家への転換を試みている。もう少し細かく中国のデジタル経済成長と変化を見守るべきである。
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