[チュ・ヨンソプのコラム] 技術覇権時代・・・R&D投資に総力戦を繰り広げよう

[写真・執筆=ソウル大学工学専門大学院のチュ・ヨンソプ特任教授]


今や科学技術が国家の命運を決定する技術覇権時代だ。世界覇権をめぐって米国と中国の間で互いに退けられない勝負が展開されている。中国は1979年の鄧小平の改革開放政策推進宣言以後、約40年間高度経済成長期を経て、2021年の中国国内総生産(GDP)が米国の74%に達し、米国の牙城を狙う名実共にG2国家になった。米トランプ政権で中国が2015年に発表した「中国製造2025」政策を問題視して始まった米・中対立および貿易戦争は現バイデン政権で技術覇権戦争に飛び火している。今後、技術覇権と直接的に連結される資源や為替レート、金融覇権に戦場が拡大するだろうという見通しが多い。

米・中覇権戦争の端緒となった「中国製造2025」は、中国の技術水準を2025年までに2015年当時の米国、欧州、日本など技術先導国水準に上げ、2035年までに当時の技術先導国と同水準を成し、2045年には世界最強の製造強国になるという野心に満ちた30年計画だ。過去、米国は世界覇権を守るためにソ連、日本など2位の国々が米国GDPの60%台を超えないよう牽制してきたという主張がある。中国製造業の発展が米国の働き口を奪って失業問題を引き起こし、中国GDPが米国の70%台に近づいてくると、米トランプ政権が刀を抜いたのだ。事実上「中国製造2025」政策が成功すれば米国だけでなく貿易依存度の高い製造業中心国家である韓国も間違いなく大きな打撃を受けるだろう。現バイデン政権は過去トランプ政権の貿易戦争の実効性が限界に達したと判断し、根本的でより強力な技術戦争に突入したのだ。

韓国が長い間堅持してきた「経済は中国、安保は米国」という路線は、もはや重大な変化や修正が避けられない。私たちの意志とは関係なく選択を強要される状況だ。韓国輸出の中国比重が25%を上回り、事実上中国向けの香港を含めれば30%をはるかに超えており、経済的代案が容易ではない。北朝鮮が核武装をしている状況で、米国の核の傘も韓国には必須だが、これも代案が侮れない。結論的に、この難局を突破していく道は、米国と中国いずれも必要であり、韓国を無視できない技術力確保にかかっていると言っても過言ではない。合わせて未来産業覇権を左右する世界的トレンドであるデジタル・グリーン・人類文明大転換対応も結局技術力が核心だ。このためにはすべて注目している半導体技術だけでは十分ではない。半導体技術もメモリー半導体では超格差を維持しているものの、米・中技術覇権戦争の核心であるシステム半導体では状況が良いとは言えない。システム技術は米国が主導しており、超格差の3ナノ極超微細加工技術は台湾と競争している。半導体技術はもちろん、韓国が優位にあったり早期優位の可能性が高い技術分野に対する国家的集中投資で少なくとも5、6つの超格差技術開発が急がれる。

6月末、科学技術情報通信部が発表した来年の主要研究開発(R&D)予算案を調べれば、今年対比1.7%増額した24.7兆ウォン規模で主要政策分野に対する戦略的投資強化、国民体感性創出促進、選択と集中を通じた投資効率化に力点を置くという計画だ。国家戦略技術の開発と共に緊急なデジタル大転換およびグリーン大転換対応技術の開発など2030科学技術先導国家(G5)跳躍のための政府R&D戦略で一見遜色がない。ただし、韓国が昨今の米・中覇権戦争など一触即発の非常状況に置かれており、その解決策が超格差技術確保にかかっているという事実を勘案すれば画期的補完が急がれる。まず厳しい財政状況を勘案して今年対比1.7%増額に止まった点は理解できるが、科学技術が国家命運を決める技術覇権時代と産業大転換を主導するデジタル・グリーン・文明大転換時代に対応できるよう他の予算を調整してでも当分の間は少なくとも年10%台の大幅増額が必要だ。

政府のR&D投資はこの20年間引き続き増加してきたものの、投資対比成果や効率が落ちるという論難がある。韓国のGDP対比R&D投資は、政府と民間R&Dを合わせて2020年4.8%であり、イスラエル(5.4%)に続き世界2位という点でR&D投資が多い国だという認識が多い。しかし、韓国がグローバル市場で米国、中国、ドイツ、日本とほぼすべての産業で競争している現実を考慮すれば、GDP対比R&D投資比率よりR&D投資絶対金額がはるかに重要だ。R&D投資の絶対金額で、米国は韓国より10倍、中国は6倍、日本は2倍、ドイツは50%以上多い。米国、中国の水準は難しくても、グローバル市場の主要競争国である日本とドイツの水準までは上げてこそ、技術競争力の確保が可能になる。国家R&D投資全体の23.4%に過ぎない政府R&D投資を戦略技術に先に拡大し、民間R&DがついてこれるようにR&D税制の支援やR&Dインフラおよび人材養成などインセンティブ政策を推進しなければならない。

第二に、経済安保および技術安保の側面で米国と中国が共に必要とする超格差技術確保が絶対的に重要であることを肝に銘じ、超格差技術開発予算を画期的に増やす特段の措置が必要だ。発表されたR&D予算案によると、まだ暫定案ではあるものの、半導体やディスプレー、 二次電池、次世代原発、水素、5G/6G通信など超格差戦略技術に1.1兆ウォン、先端バイオ、宇宙・航空、量子、人工知能・ロボット、サイバーセキュリティなど未来挑戦技術に2.4兆ウォン、デジタル大転換技術に2.4兆ウォン、グリーン大転換技術に2.3兆ウォンを配分した。現在の投資配分で感じられるように、正常状況ではこの上なく立派な計画だが、韓国が直面した昨今の非常状況を勘案すれば、短期的に技術および経済安保に寄与できるように超格差技術開発予算の大幅増額と対象技術の戦略的選定で集中的成果創出が急がれる。自主開発に長期間かかる技術は戦略的提携、買収合併、技術買い入れなどを通じた投資で時間を短縮する必要もある。

第三に、R&D人材養成のための投資が絶対的に重要で急がれる。韓国の国内人材だけで十分でなければ、外国人材の誘致や海外研究所の拡充など、可能なあらゆる手段を講じなければならない。海外企業や研究機関に勤めている韓国の海外人材誘致にも投資を惜しんではならない。技術スタートアップやベンチャー企業の育成も技術人材を育成し、技術生態系を高度化する効果的な手段として投資拡大の対象といえる。

今や科学技術が国家と国民を生かす。時間があまりない。国家的な総力戦が求められる時期だ。
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