[チョン・ソンチュンのコラム] 加速する世界経済の陣営化・・・韓日、今や協力する時期

[写真・執筆=チョン・ソンチュン対外経済政策研究院副院長]


尹錫悦(ユン・ソクヨル)政府が発足し、韓日関係に対する改善意志が強まっている。第20代大統領職引継ぎ委員会が5月に発表した「尹錫悦政府110大国政課題」には「自由民主主義の価値と共同利益に基づいた東アジア外交の展開」が含まれており、韓日関係についてはシャトル外交の復元により信頼を回復し、共同の利益と価値に合致する韓日未来協力関係を構築することを宣言した。過去を直視しながら韓日未来関係を包括的に提示した金大中 (キム・デジュン)、小渕宣言精神を発展的に継承しながら未来世代の開かれた交流を拡大させていくというのが核心要旨だ。しかし韓日関係は依然として改善されないままもどかしい状況が続いている。先に宣言したのとは違って、両国は依然として過去だけを直視しているだけで、未来志向的な関係に発展できないまま、毎回もどかしい議論と解決策の模索に没頭している。だからといって解決策を見つけることもできなかったようだ。

これまで韓国経済の発展に重要な役割を果たしてきた両国間の経済関係にも、2010年前後から異常な気流が流れ始めた。韓国経済は日本経済を追撃する方式で成長してきたという点は否定できない事実だ。日本企業が開発した商品と技術を導入し、これを土台に独自の技術発展を成し遂げ、究極的には日本企業を追い越す成長戦略で目覚ましい発展を遂げたためだ。ずいぶん前の話だが、筆者が日本に長期間滞在していた時代、ある知人は「今、日本で流行して繁盛している商品やビジネスが何かを調べてほしい」と頼むほどだった。それだけ日本経済は、韓国経済が進むべき一つの未来像を提示してきた。

しかし、2010年代に入って両国間の貿易と投資取引が弱まり始めた。韓国の対外貿易で日本が占める割合は2011年の14%から2021年には6.7%に下落した。日本に進出していたサムスンと現代自動車が失敗し、韓国はトヨタ、ホンダなど日本の自動車メーカーの墓場となった。両国間の貿易が拡大するはずがない。日本の対韓直接投資も2012年の45億4000万ドルをピークに、2021年には12億1000万ドルに縮小した。日本の対韓直接投資は主に素材・部品・装備企業が韓国の大企業に納品するために投資する場合が多い。韓国企業の海外投資が増加し、日本企業のこのようなタイプの投資が萎縮したものと推定される。特に2019年7月、日本が韓国に対して輸出規制措置を実施したことで両国間の信頼が崩れ、韓国の素材・部品・装備産業の育成政策が強化され、国産化と自立化が進んだのも重要な理由だろう。

経済協力でも両国関係はそれほど円満ではなかった。韓国は数多くの国々と自由貿易協定を締結してきたが、地理的に最も近くて貿易投資関係が緊密な日本とは自由貿易協定を成功させることができなかった。両国間の自由貿易協定は2003年に交渉が開始されたが、2004年に何の成果も得られず終了した。当時、交渉を見守った筆者は、日本の多くの交渉当事者がこの協定を必ず成功させたいという意志を垣間見ることができた。しかし、さまざまな理由で交渉は成果を出せなかった。貿易逆調を理由にした韓国産業界の反対を越えられなかったことがその重要な理由の一つだろう。その後、両国間の自由貿易協定に関する議論はない。ただし韓日間の貿易自由化効果が期待できる多国間貿易協定、すなわちRCEPが2022年2月に発効され、両国はこの多国間協定を通じて一部貿易自由化を図ったが、その水準はそれほど高くなく市場開放効果も制限的だと評価されている。

両国間の金融協力はどうか。この分野でも両国間の実質的な協力は微弱だ。最近、米国の金利引き上げにより国際金融の安定性確保が重要な政策課題として台頭しているが、韓日両国とも自国通貨価値下落にともなう外国為替市場の不安定性増大を憂慮しながら対応策作りに苦心している。韓国は米国の金利引き上げに追従して制作金利を引き上げたが、日本はこれとは正反対に量的緩和政策を依然として固守している。米日の金利格差が拡大し、円価値が大幅に下落したが、日本銀行は金利を引き上げる兆しを見せていない。これを見れば、日本の財政赤字や経済力の下落を憂慮しながらも、依然として基軸通貨として円の力は残っているとみられ、韓日金融協力を通じて両国が得られる利益があると判断される。それにもかかわらず、両国の金融協力は非常に限られていた。両国間の通貨スワップは1998年に50億ドル水準で締結されたが、2013年に30億ドル契約を終了した後、再契約が行われていない。チェンマイイニシアチブで締結されていた100億ドル通貨スワップも2015年に終結した。両国間の国際金融協力はほとんどない状態だ。

人的交流も大きく停滞した。1990年代から2000年代までは、日本に留学する韓国人学生の水準は量的、質的に良好だったと考えられる。しかし2010年代以後、修士・博士級留学生は次第に探しにくくなった。筆者が勤める経済研究機関でも日本を専攻する博士級研究者を探すのが難しくなり、これは自然に両国間の相互理解と交流を停滞させる要因として作用している。日本政府が今年制定した経済安保推進法には、外国人留学生に対して重要技術研究への参加を制限できる内容も含まれており、もし日本の技術開発過程の開放性が低下するのではないかと懸念される。これは両国間の優秀な科学技術人材の交流を妨げる要因になりかねないからだ。信頼が回復できず優秀人材交流が停滞すれば未来指向的な韓日関係はより一層遠い課題に過ぎない。

しかし、国際情勢の変化は足踏み状態の韓日関係を積極的に改善することを要求する。第一は米中間覇権競争により世界経済でブロック化・陣営化が加速しているという点が挙げられる。周知の通り、米国は今後10年間、中国との競争で決着をつけようという意志を示している。中国封鎖を通じて革新力量を抑制し、米国の圧倒的な技術力優位を土台に世界覇権を維持するという戦略であり、そのためにいわゆる同盟国の規合に熱を上げているためだ。韓国と日本、そして台湾は米国との協力を求められており、これはインド太平洋経済フレームワーク(IPEF)から14カ国に拡大している。特に、中国に依存しているサプライチェーンを米国中心のサプライチェーンに再編し、米国の経済安保を強化しようとする目的が明確に現れている。

韓日両国はこうした再編過程の真っ只中に立っている。日本は2022年5月に経済安全保障推進法を制定して特定重要物資のサプライチェーンを確保し、政府主導で技術開発を行う方針を明確にした。韓国も経済安全保障の重要性を認識し、戦略物資のサプライチェーン管理のための体制整備に積極的に取り組んでいる。両国は経済安保のレベルで協力を強化しなければならない。2019年の輸出規制のように、相互不信と牽制が再発しないよう信頼を回復し、サプライチェーンの回復弾力性を高めることができるよう、二国間および多国間レベルでのコミュニケーションを強化する必要がある。国際情勢の不確実性が高まるほど、両国が敏感に思っている戦略物資の供給網はさらに不安になる。両国とも半導体、バッテリー、食糧、エネルギー、戦略鉱物など国家経済に重要な物資の安定的な調達網を構築するのに政策的力量を集めている。両者レベルでは韓日経済安保を協議する政府間チャンネルを作って積極的に疎通に乗り出さなければならない。多国間レベルでもインド太平洋経済フレームワークやチップ4等を活用して共同の利益を確保するために疎通しなければならない。これ以上過去に縛られて未来の利益を犠牲にしてはならない。

第二に、両国は早急に解決しなければならない社会経済的課題を抱えており、ウィンウィンの関係を実現するための相互協力が必要だからだ。デジタル転換に関する韓日間の協力は日本にとっても有益である。日本はデジタル転換のためにデジタル庁を新設するなど努力を傾けてきたが、明確な成果を出せずにいる。5G通信装備市場における韓日協力やデータセンターの韓国誘致、日本クラウドシステム及びソフトウェア開発における韓国の日本進出など、協力の機会は多いとみられる。韓国IT人材の日本就職増加は、日本のデジタル人材難を解消できる機会でもある。炭素中立を実現するためのクリーンエネルギー分野でも韓日協力が必要だ。特にエネルギー専門家たちは水素資源確保のために海外で大規模水素供給網を構築する必要があり、ここに韓日が協力する余地が多いと主張する。エネルギー効率を高めるための両国間の協力も求められる。特に韓国はGDP対比温室効果ガス排出量が非常に高い国で、エネルギー効率を高めるために努力しなければならない国だ。戦略鉱物資源の確保に向けた協力も必要だ。デジタル転換過程で新しく登場する技術と商品には非常に重要だが、希少な鉱物資源が必要だ。このような希少鉱物資源の確保は、次世代成長産業に欠かせないため、国際協力が切実だ。日本は韓国に必要な良いパートナーになれると期待される。
 
 
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